アフィリエイト広告を利用しています
JR北海道からタイ国鉄に無償譲渡されたキハ183は、土日祝日を中心に主催されるツアーの団体専用観光列車として運用されています。
日本の鉄道ファンにとっても国鉄時代に製造された名車キハ183に乗車できるとして注目されていますが、2023年11月現在では、キハ183に乗車できるツアーの詳細がタイ語だけでしか案内されておらず、ネット予約もタイ語か英語でしかできないため、日本からのツアー参加はなかなかハードルが高いようです。
今回、私はタイ国鉄主催のキハ183に乗車する一泊二日ツアーに自分でネット予約することで実際に参加しました。その参加レビューとともに予約方法や注意点などをご紹介します。
結論としては、言語が通じない、文化的な違いがある、ということで不便はありましたが、総合的にはトラブルなくキハ183の乗車と観光、そして異文化体験を楽しむことができ、参加してよかったと思っています。
今回の記事は、タイ国鉄キハ183観光列車に関心のある方には有益な情報となりますので、ぜひ最後までお読みください。
タイ国鉄キハ183のツアーについて
タイ国鉄キハ183は定期列車としては運用されていないので、キハ183に乗車するためにはタイ国鉄キハ183のツアーに参加する必要があります。以下では、タイ国鉄(The State Railway of Thailand:SRT)が主催するキハ183のツアーについて簡単にご紹介します。
キハ183のツアーはタイ国鉄主催の団体旅行
タイ国鉄では、以前より土日祝日を中心に目的地への往復に鉄道(タイ国鉄の観光列車)を使った日帰りまたは一泊二日ツアーを主催しています。これらツアーで使用する観光列車は、急行型ディーゼル気動車だったり、DLやSLがけん引する客車だったりするのですが、これらに加えて2022年12月以降はJR北海道より譲渡されたキハ183を観光列車として使用するツアーが増えています。
キハ183のツアーの形態は典型的な団体旅行です。1ツアーの総参加人数約200人を約40人ずつにグループ分けし、各グループに専属の添乗員がついて、ツアー全行程にわたって添乗員の引率による移動、観光、食事などが行われます。団体行動なので、決められた時間を守らなかったり、途中で自分勝手にグループから離脱したりするようなことは基本的にNGです。
キハ183のツアーの大まかなスケジュールは、朝、フアランポーン駅(バンコク駅)に集合して受付、キハ183団体専用列車で目的地へ移動、目的地ではチャーターした観光バスに分乗して観光、日帰りツアーの場合は観光終了後、キハ183団体専用列車でバンコクに戻り解散。一泊二日ツアーの場合は、一日目の観光が終了した後、ホテルで宿泊し、二日目も夕方まで観光をしてから、キハ183団体専用列車でバンコクに戻り解散となります。
キハ183のツアー料金はすべて込みこみ
2023年11月時点の情報では、キハ183のツアー料金は、日帰りツアーが大人1人1,499バーツ(≒6,500円)、一泊二日ツアーが大人1人3,999バーツ(≒17,000円)です。この金額には、列車往復の運賃、現地での観光バス等の費用、観光施設への入場料、ホテル代(一泊二日の場合)、そして、朝食、昼食、夕食、おやつ、飲み物、ツアー参加記念の記念品など、一切のものが含まれています。
このようにキハ183のツアー料金はすべて込みこみなので、観光地のお店でお土産を買ったり、屋台でつまみ食いをしたり、寺院でお賽銭やお布施を払ったりするようなこと以外、基本的にツアー参加中は追加でお金を出すことはありません。ペットボトルのお水などもときどき配布されますので、自分で飲み物などを買っていく必要もありません。ちなみに、添乗員へのチップなども不要です。
キハ183のツアーにおける注意点
注意しなければいけない最大のポイントは、2023年11月時点で、このキハ183のツアーは国内タイ人向けサービスとなっている点です。
ツアーの予約および参加は外国人でも可能なのですが、外国人に配慮した公式のサービスやサポートは一切ないと考えるべきでしょう。
例えば、ツアーのパンフレットはタイ語のものしか提供されていないし、列車内や観光バスでのアナウンス、現地での観光案内なども、全てタイ語でしかサービスされません。
もちろん、観光地での集合時間や出発時間など最低限の事務的なことは担当の添乗員さんから英語で伝達されますが、それでも状況把握が難しいことが多々ありました。幸いタイの方々は親切な人が多いので、困っているときは誰かが助けてくれて何とかなりました。
食事についても外国人向けにはなっていません。外国人に有名なタイ料理(トムヤムクンやガパオライスなど)ではなく、国内タイ人向けの一般的な料理が出されます。
ただ、自分一人では注文することがないようなタイ家庭料理を食べてみる貴重な体験だとも思いますので、前向きに考えましょう。実際、意外と美味しかったです。
一泊二日ツアーの場合、ホテルに宿泊するのですが、2人1部屋が基本となります。ですので、2人や4人など偶数人で参加する場合は問題ないですが、1人や3人など奇数人で参加する場合は、他の人と相部屋になる可能性が高いので、心の準備と覚悟が必要です。
日本人にとっては見ず知らずの他人と相部屋なんて考えられないかもしれませんが、タイ人の方々はあまり気にされている様子はありませんでした。部屋割りは、本人の希望を聞いたうえで添乗員さんのほうで決められます。
183のツアーの目的地は、日本人にとってなじみの薄いマイナーな観光地であることも多いです。例えば、これまで実施されたキハ183のツアーでは、チャチェンサオ、ラチャブリー、アユタヤ、スパンブリー、カンチャナブリ―、ペッチャブリー、プラーチンブリー、チョンブリーなどでした。
やはり国内タイ人向けのツアーであり、客層も旅行好きの中高年ですから、あまり行ったことのない穴場的な名所が目的地になるようです。
そのほかタイ国鉄のツアーに関する情報収集
タイ国鉄のツアーに関する日本語での詳しい情報はネットを探してもあまりありません。タイ国鉄の公式サイトやタイ国鉄のFacebookアカウントなどは一次情報として最も信頼性が高いですが、ほとんどがタイ語、一部は英語表記もありますが十分とは言えません。
英語サイトにはなりますがTHAI TRAIN GUIDEは大変参考になりました。THAI TRAIN GUIDEではキハ183のツアーを含め、タイ国鉄主催のツアーについて体験に基づいて詳細にレポートしていますので、日本語に自動翻訳するなどして目を通してみられることをおすすめします。
タイ国鉄キハ183のツアー予約方法
タイ国鉄キハ183のツアーは、「Dチケット」というオンライン予約サイトのほか、ホットライン1690(電話、たぶんタイ語のみ)や、タイ国鉄の駅で予約・購入できますが、日本から予約するにはオンライン予約サイトの一択です。以下、タイ国鉄のオンライン予約サイトを使ってキハ183のツアーを予約する方法について説明します。
参加したいキハ183のツアー候補を探す
キハ183のツアーを予約するに先立って、まずは参加したいキハ183のツアー候補を探すことからはじめます。どういったツアーが何月何日に予定されているのかを調べます。
はじめにタイ国鉄のオンライン予約サイト「Dチケット」にアクセスします。アクセスするとデフォルトではタイ語表記なので、サイト右上の「地球マーク」から「English」を選択して英語表記に変えます(スマホの場合は左上の「三本線マーク」をタップし「地球マーク」から「English」を選択)。
ページを下にスクロールすると、下のスクショのように「Exploring Thailand by Train」の見出しの下に縦長のバナーが並んでいます。
これらバナーがタイ国鉄主催のツアーを示しています。ツアーの中にはキハ183以外の観光列車によるツアーも含まれていますので、キハ183のツアーを見つけます。各バナーの写真下に記載された文字に「KIHA 183」を含むものがキハ183のツアーとなります(上のスクショでは一番左のバナー)。
そしてキハ183のツアーのバナーを順番にクリックして、内容を確認します。クリックすると例えば下のスクショのように「Pa Sak Jolasid Dam KIHA 183 AC」という見出しのついたページが表示されます。
これはパーサック・チョンラシットダム(ダムの上を鉄道が通る名所)に行くキハ183の日帰りツアーです。また、「1,499 Baht / person」という記載から、ツアー料金が一人1,499バーツであることがわかります。
続いてボタン「Choose」を押すと、下のスクショのように「Choose Travel Date」の見出しの画面になります。見出しすぐ下のプルダウンから「Month(月)」のところで、例えば下のスクショのように「December」を選ぶと、その下にツアー実施予定の日付が表示されるのがわかります。
上のスクショ画面では12月9日(土)と12月10日(日)にそれぞれ実施予定されていることがわかり、「12月9日」を選択した状態になっています。「Travel Date」と「Return Date」がともに12月9日ですので、日帰りツアーであることが確認できます。
候補となったキハ183のツアー内容詳細を確認
以上の要領で、参加候補となりそうなキハ183のツアーをいくつか選びます。この段階で参加したいキハ183のツアーが1つに絞れるのであれば、そのまま後述する予約・購入に進んでもいいのですが、念のためツアー内容の詳細を確認しておくことをおすすめします。
ツアー内容の詳細を確認するためには、タイ国鉄の公式サイトにアクセスします。公式サイトのページを下にスクロールすると下のスクショの右下にあるように「キハ183」のアイコンがありますので、そこをクリックすると、各ツアーの詳細が記載されたPDFパンフレットが表示されます。
このパンフレットを見てツアーの詳細を確認できます。なお、タイ国鉄の公式サイトは日本からのアクセスではとても重いので、公式サイトにどうしてもアクセスできない場合は、タイ国鉄のFacebookアカウントの方でも確認してみるといいでしょう。Facebookのほうにも公式サイトと同じパンフレットがアップされていることがあります。
ただ、このパンフレットはタイ語のみであり、しかも文字が画像データなので、そのままでは自動翻訳もできません。私はタイ語が全くわからないので、下の写真のようにPC画面にパンフレットを表示し、スマホのカメラを使って日本語に翻訳して解読しました。
ほかにもパンフレットをプリントアウトしてから、スマホのカメラを使って日本語に翻訳してもいいですし、スマホでPDFのスクショを撮って、保存された写真画像からページ全体に自動翻訳をかけてもいいと思います。
面倒な作業ですし、自動翻訳の日本語もちょっと怪しいのですが、これによって上の手順で選んだキハ183のツアー候補に関するツアー内容の詳細、どんな観光スポットをまわるのか、どこで食事をとるのか、一泊二日ツアーの場合はどのホテルに宿泊するのか、そしてこれらのタイムスケジュールがだいたいは確認できるはずです。
参加を決めたキハ183のツアーを予約・購入
ツアー内容の詳細を確認して、どのキハ183のツアーに参加するかを決めたら、もう一度タイ国鉄のオンライン予約サイト「Dチケット」のほうに戻ります。さきほどと同様に、英語表記にしておきましょう。
予約・購入をするにはログインが必要なので、英語表記に切り替えした「地球マーク」の隣にある「Login」からログインを行います。まだ会員登録ができていない場合は、その隣にある「Register」から会員登録を行います。
会員登録は英語表記ですが、それほど難しくはないと思います。「性別」、「外国人」、「氏名」、「旅券番号」、「電話番号」、「メールアドレス」、「パスワード」を入力します。
「電話番号」は日本の携帯電話番号を入力しても大丈夫ですが、最後の一桁が入力されない状態で登録されます。「メールアドレス」は予約完了時にeチケット(PDFファイル)を受信するため、間違いないよう正確に記入してください。登録が完了したらログインします。
ログインすると、個々のツアーのネット予約に進めるようになりますので、さきほど参加を決めたキハ183のツアーを示すバナーをクリックします。画面が切替わり、続いてボタン「Choose」を押します。「Choose Travel Date」の見出しの画面になるので、見出しすぐ下のプルダウンから「Month(月)」を選ぶと、その下にツアー実施予定の日付が表示されます。ツアー実施日が複数ある場合は複数の日付が表示されますので、予約したい日付を選択します。
下のスクショは「Pa Sak Jolasid Dam KIHA 183 AC」という日帰りツアーで12月9日を選択した状態です。
そのあと、「At the point of origin」は、キハ183に乗降する駅の選択です。通常はフアランポーン駅(バンコク駅)で乗降すると思いますので「Bangkok」を選びます。
「Travel type」の横に「68」とか「40」とかを選ぶ意味不明な項目がありますが、ここはデフォルトのまま放置で問題ありません。たぶん中間車(座席数68:2号車と3号車)か運転台付き車両(座席数40:1号車と4号車)を選ぶのだと思います。ただ、このあと座席はシートマップで選ぶことができるので、どちらを選択しておいても問題ありません。
「No. of Passenger」は参加人数を選択します。一人旅なら「No. of Passenger 1」を選択です。最後に「Book a ticket」ボタンをクリックします。すると画面が遷移して、下のスクショのような個人情報の入力になります。個々の参加者全員分を入力します。
一人目の「Passenger 1」はログインしている本人を入力します。「Are you a member ?」は、会員登録しているので「Yes」を選びます。「Passport Code」をチェックして旅券番号を入力、その横の「虫眼鏡」をクリックするとシステムが個人情報を読み出して情報が自動入力されます。(過去に利用歴がある場合、Passenger 1についてはデフォルトで情報が入力されている場合があります。)
二人目以降は「Are you a member ?」で、同じく会員登録している場合は「Yes」で「Passport Code」をチェック、旅券番号を入力して個人情報を自動入力。会員登録していない場合は、「Are you a member ?」で「No」を選び、続いて、「性別」、「外国人」、「旅券番号」、「氏名」、「電話番号」、「メールアドレス」を入力します。
参加者全員の入力ができたら最後に「Choose Seat Number」ボタンをクリックします。するとシートマップのページに移ります。シートマップのページに遷移しない場合は満席となります。(ここまで入力して満席だとガクッときますね)
シートマップでは、あらかじめ自動で席が割り当てられていますので、もし気にいらなければ、名前の横にある「Seat No.** 金額」の横の「X」ボタンを押して、自動割り当てされた座席を一旦キャンセルし、シートマップから号車と座席を選びなおします。ちなみに、号車および座席は往路と復路で同一のものとなります(往路と復路で別の座席にすることはできません)。
座席は、男性、女性、僧侶などの情報も表示されます。僧侶の横に女性が座れないという、タイならではの事情もあるのでしょうね。
そして、座席を選んだら「Next」ボタンをクリックして進みます。すると、英語で料金の詳細が表示されますので、間違いなければ「Payment」ボタンを押します。そのあとは、クレジットカードのブランドを選択して決済を進めます。
決済が完了することでツアーの予約と購入が完了します。会員登録したメールアドレス(会員登録していない参加者は予約時に入力したメールアドレス)にdticket@railway.co.thからのメールが届いているはずです。
このメールの添付ファイルにPDFファイルのeチケットがついています。eチケットは往路の鉄道(キハ183)が1枚と復路の鉄道(キハ183)が1枚の計2枚です。目的地での観光や宿泊するホテル(一泊二日ツアーの場合)などについては何も記載されていませんが、これらも含めてちゃんと予約されているので心配はありません。
当日はこのeチケット2枚をプリントアウトして、集合場所であるフアランポーン駅(バンコク駅)の4番ホームに行って受付をすればOKです。
プリントアウトしなくてもスマホの画面でeチケットを表示すれば受付できていたようですが、eチケットの注意書きにはプリントアウトして持参するように書かれているので、可能な限りプリントアウトすることをおすすめします。
キハ183の一泊二日ツアー参加レビュー
2023年11月11日(土)~12日(日)に実施されたキハ183の一泊二日ツアーに日本から一人で参加しましたので、その参加レビューを紹介します。今回ツアーの目的地となったのは、バンコクから150kmほど東にあるプラーチンブリーという町でした。キハ183のツアーの雰囲気を知りたい方には参考になる情報だと思います。
キハ183の入線シーンを撮影
今回の旅行における私の最大の目的は、日本ではもう乗ることのできないキハ183をもう一度堪能することでした。なので、最初にやるべき仕事は、キハ183の入線シーンを撮影することでした。
ツアーの出発駅、つまりキハ183の始発駅はフアランポーン駅。新しくできたクルンテープ・アピワット中央駅(バンスー中央駅)ではないので要注意。キハ183団体専用列車の発車時刻は07:40、パンフレットには受付開始が07:00とありましたので、キハ183は遅くとも07:00には入線すると予想しました。
さすがに早すぎるとは思いましたが、まだ真っ暗な夜明け前の05:30頃にタクシーでフアランポーン駅に到着。タイ国鉄は改札が無いので、そのままホームへ入場。
駅の発車標には4番ホームにプラーチンブリー行き07:40発の列車が表示されていましたが、4番ホームにキハ183の姿はなかったのでひと安心。
よく見るとホーム外の留置線に車内照明が消えた状態のキハ183が止まっていました。どうやらキハ183は運行のないときはマッカサンの車庫ではなくフアランポーン駅に留置されているようでした。
留置線にいるキハ183の様子を気にしながらホームでほかの列車の撮影などをしながら時間をつぶして07:00少し前、ようやくキハ183が動き出し、フアランポーン駅の4番ホームに入線して来ました。入線時刻は07:00ちょうどでした。タイには鉄道ファンがあまりいないようで、私以外にカメラを構えている人はいませんでした。「場所取り」みたいなことも気にする必要がないのがよかったです。
タイ国鉄は非電化ということもありますが、列車を撮影する際の障害物があまりありません。駅のプラットフォームは日本で言うと歩道の縁石程度の高さしかないので、低いアングルから列車を撮影することも簡単にできます。そして、安全面であまり推奨はできませんが、タイでは列車が完全に停止しているときは人が線路内に立ち入ることが可能なようなので、タイ国鉄では駅での列車撮影がとてもやりやすいように感じました。
ファランポーン駅の4番ホームでツアーの受付
列車がホームに停車するとツアー参加者の人たちがキハ183のまわりで記念撮影をはじめたので、私のほうは撮影を切り上げてツアーの受付に向かいました。ツアーの受付は4番ホーム上に机が設置されたところにありました。フアランポーン駅の構内にある切符売り場では受付できないので間違えないようにしてください。
ツアー受付では、ネット予約・購入したときにメール添付されていたeチケットをプリントアウトしたものをスタッフさんに提示すればOK(eチケットをスマホ画面で表示して受付してもらっている参加者もいました)。
受付すると首から下げるストラップのついた参加者パスが渡されます。ストラップの色(私は赤色)は団体行動する際のグループ(私は赤グループ)を示しており、同じグループの人たちがキハ183の同じ車両、観光バスの同じ車両に乗車するようになっています。また、参加者パスにはキハ183の座席番号(私は「17A」)と、タイ語なので読めませんが、たぶん「3号車」という表示、そして「182-29」は3号車の車両番号である「キハ182-29」が記載されていました。
受付近くにはミニステージがあって、駅長さんか誰か偉い人物が登場してキハ183のツアー出発のセレモニーが行われていました。ツアー参加者たちも記念写真を撮ったりして、盛り上がっている感じでした。
プラーチンブリーまでの車内は賑やかな雰囲気
私の参加したツアーでは、列車はほぼ満席。全参加者約200名のうち鉄道ファンらしき日本人は私を含めて4人、欧米からと思われる青年が2人、他は全てタイ人でした。タイの方々は、少なくとも50代以上には見える中高年が中心で、上品な雰囲気から富裕層の方々ではないかと思います。タイ人の参加者のうち70%くらいは女性でした。
キハ183団体専用列車は1~4号車の4両編成。内装などはほぼJR北海道時代と同じであると思われますが、座席は2×2のリクライニング付きクロスシート、各座席の背面には網ポケットと収納式のテーブが装備、荷物は網棚に収納可(中型のスーツケースくらいなら収納可)、1号車と4号車には洋式トイレと男性用小用トイレが設置されています。
キハ183は定刻07:40にファランポーン駅を出発。出発する前から車内放送で、ツアーのスタッフの方が何やらしきりにおしゃべりをしていました。タイ語なので全く理解できませんが、「JR北海道」やら「キハ」といった単語や、「プラーチンブリー」という単語が頻出していたので、たぶんキハ183の特徴や魅力、これから向かうプラーチンブリーの見どころなどをユーモアも交えて話していたのではないかと思います。
車内放送のおしゃべりはそのあとも延々と続き、プラーチンブリーに到着する直前まで続きました。ツアー参加者の方々はとても上品な感じで、自分から大声で話すようなこともないのですが、車内放送のおしゃべりに反応して相槌をうったり笑ったりで、車内は賑やかな雰囲気となりました。
キハ183を堪能したい鉄道ファンのわがままとしては、JR北海道時代の車内チャイムなどが聞けたらいいなと少し期待していたのですが、残念ながら車内チャイムはありませんでした。でも、エンジン音などは以前のままだなと感じました。
スマホの速度計で計測してみるとキハ183の速度はバンコク市内では40km/hくらい。郊外に抜けて線形のよさそうなところでも最高で85km/hくらいでした。日本の在来線のレール幅が1067mmなのに対して、タイ国鉄のレール幅が1000mmと少し狭くなっていることで、あまり速度が出せないのでしょうか?
出発から30分ほどすると朝食のお弁当とペットボトルのお水が配布されました。そのあと続いて「KIHA 183」のロゴが入ったクッキーと、手のひらサイズの箱に入った仏像のお守りとが、ツアーの参加記念として配布されました。
車内はやや強めの冷房がきいていました。私は半そでシャツだったので、乗車時間が2時間を超えるとさすがに肌寒さを感じました。薄い長そでのカーデガンなどがあったほうがいいかもしれません。
プラーチンブリーでは観光バスに乗り換えて1日目の市内観光
目的地のプラーチンブリー駅には定刻より10分ほど遅延して10:10頃に到着。駅前では、地元住民の方々による盛大なお出迎え。そして駅長さんと思われる偉い方のスピーチとセレモニーが行われました。
そのあと駅前で待機していた5台の観光バスにグループごとに分乗して市内観光に出発。列車の座席は指定されていますが、観光バスの座席は自由席なので早い者勝ち。ハイデッカーバスなので最前列の座席からは前面展望が楽しめます。スーツケースなど大きな荷物は乗車時にバスの床下に収納してもらえます。
プラーチンブリーには今から1000年ほど昔のクメール王朝時代に栄えた遺跡が多数残されており、観光バスではこれら遺跡のいくつかを訪問しました。1日目にまわった観光スポットと食事は以下のとおりです。
・サ・ケオを観光。5~6世紀に作られた宗教儀式などを行うための池の遺跡。
・サ・モラコットを観光。ワット・モラコットという寺院の中にある遺跡、7世紀~9世紀に制作されたタイで最大かつ最古の仏陀の「足跡」がある。
・カトリック教会のホールで昼食。バイキング形式、8人ずつの班分けがされて、班ごとに大きな円卓を囲む。料理は、タイの家庭料理、麺類やデザートもあり、どれも美味しかったです。ステージでは音楽などのパフォーマンスがありました。
・古代都市の堀と堰を見学。その後、近くの果樹園を訪問。
・ワット・プラトゥム・ブーチャを参拝。タイ最大の守護神タオ・ウェスワンの像がある。
・学校の講堂のような会場で夕食。タイ料理のコースが出てきた。夕食会場では、地元の学生さんが歌や踊りのパフォーマンス。市長さんのような偉い方が登場してスピーチのあと、お坊さんによるお祈りがあった。
観光バスの移動中、おやつとペットボトルの飲み物が提供されました。タイの伝統的なおもちのようなお菓子でした。
観光バスでの移動中は添乗員さんによるおしゃべりが延々と続いていました。キハ183の車内と同じように参加者の方々は相槌をうちながら聞いている感じ。もちろんタイ語なのでさっぱりですが、観光スポットについての解説やユーモアのある面白い話をしていたようです。
驚いたことが1つあります。ツアーの一行は5台の観光バスでの移動でしたが、移動中は常にパトカーと白バイが先導し、観光バスが交差点で右折するときは、警察官が反対車線の車の流れを止めて5台の観光バスが途切れることなくスムーズに進めるように交通整理していたことです。国家の要人でもないのに警察が付き添うなんて初めての経験です。タイでは国鉄の権威はすごいんだなあと感心しました。
ホテルは他の人との相部屋ですごす
夕食の後、カンタリーホテルという、プラーチンブリーではまあまあ大きなホテルにチェックイン。私は一人での参加だったので、同じく一人旅で参加していた別の人(タイ人男性)と相部屋になりました。
見ず知らずの方との相部屋ということで戸惑いもありましたが、タイではこういうことは普通にあるのでしょうか?その方は全く気にしていないようで、気さくに接していただけ安心できました。片言の英語でのコミュニケーションでお互い不自由はありましたが、異文化の方と知り合えたのはよい思い出になりました。
翌朝、朝ごはんはホテルのレストランでのバイキング形式。朝食はグループ関係なしに各自が自由にとる感じ。朝食のあとは各自チェックアウトを行い、玄関前に待機している昨日と同じ観光バスに乗車して08:00に2日目の市内観光に出発しました。
2日目も観光バスでたっぷり市内観光
2日目の市内観光と食事は以下のとおりでした。
・シープラチン・タワラワディー大仏を参拝。山の上にある巨大な大仏様でした。
・パヒンソン展望台。プラーチンブリーを一望できる見晴らしのいい場所。
・カオイートー森林公園。湖のそばのキャンプ場。ヤシの実のジュースとお菓子をいただきながら、地元の環境保護団体の方のお話を聞く。そのあと湖に魚の稚魚を放流する活動を行う。
・プラーチンブリー市内の大きなレストランで昼食。中華風のコース料理が出た。
・プラタート・ワット・チェーンを参拝。ダイヤモンドの目をした仏像が安置されている。
・プラーチンブリー国立博物館を見学。プラーチンブリーの歴史、遺跡からの出土品などが展示されている。
・アパイプベート・タイ薬学博物館を見学。タイ国王が建立した由緒ある病院。
・その後、プラーチンブリー駅に戻る。
2日目も観光バスの移動中、おやつとオレンジジュースが提供されました。タイの伝統的なおもちのようなお菓子ですした。2日目も移動中は添乗員さんによるおしゃべりが延々と続いていました。
アパイプベート・タイ薬学博物館を見学した後、観光バスに戻ろうとしたときに突然スコールが降ってきたので添乗員さんから使い捨てのビニールカッパが配られました(もちろん無料です)。結構サービスが行き届いているなあと感心しました。
帰りの列車は落ち着いた雰囲気で
市内観光を終え、プラーチンブリー駅には17:00頃、キハ183団体専用列車の発車時刻17:30の30分ほど前に到着。キハ183はすでに入線済でホームに停まっていました。
まだ雨が降り続いていたので、ツアー参加者の皆さんは、そそくさとキハ183に乗り込みます。私は雨の降る中、ホーム上でキハ183の写真撮影をしたあと、ゆっくりと車内に入り席に着きました。座るのは行きと同じ座席番号。もちろん座席の向きはバンコク方面になっています。
まだ出発でしたが、キハ183の車内では夕食のお弁当とペットボトルの水が配布されました。そのあと、スタッフの方がスマホでQRコードを読んでアンケートに答えてほしいと言うので、やってみましたが、すべてタイ語なので断念。
定刻17:30にキハ183はプラーチンブリー駅を出発。帰りも車内アナウンスでスタッフさんからのお話はありましたが、往路のように延々とおしゃべりが続くことはなく、10分ほどで終了。帰路では落ち着いた静かな雰囲気での乗車となりました。
もう日も暮れて車窓の景色は見えませんでしたが、キハ183のエンジン音やレールのジョイント音などを聞きながら、静かな時間をすごすことができました。
終着フアランポーン駅には定刻より5分ほど遅延の20:00ごろに到着。フアランポーン駅のホームでは最後にキハ183の写真を撮影して楽しかった2日間の旅を終えました。
まとめ
以上のとおり、タイ国鉄のキハ183に乗車するにはタイ国鉄主催のキハ183のツアーに参加する必要があり、このキハ183のツアーはタイ国鉄のオンライン予約サイト「Dチケット」よりオンラインで予約・購入することができます。ツアーの詳細を確認するためにはタイ語の解読が必須となりますが、スマホの自動翻訳などを駆使すればなんとかなります。
また、実際にキハ183のツアーに参加してみた感想としては、外国人向けのサービスではない点で、言葉がわからない不便さや、文化的な違いによる戸惑い、そして不安があったことは確かですが、ツアーに参加しているタイ人の方々が親切に声をかけてくれたので、楽しくすごすことができました。もちろん、キハ183を堪能し、写真撮影もたくさんできたので満足でした。
キハ183に乗車して写真撮影をするのが目的であって、他の参加者との交流や団体行動で観光することにはストレスを感じるような場合は、キハ183の日帰りツアーに参加すべきでしょう。逆に、タイ人の参加者と交流したり、ガイドブックには無いような観光地を訪ねたりすることにも興味があるような場合は、キハ183の一泊二日ツアーがおすすめです。
Have a nice trip!