台湾を鉄道で一周する旅の魅力と便利な乗り放題パスの使い方

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台湾を鉄道で一周する旅の魅力と便利な乗り放題パスの使い方

台湾を鉄道で一周する旅は、鉄道ファンなら一度はチャレンジしてみたい乗り鉄旅行でしょうし、鉄道ファンでなかったとしても台湾各地方の観光地やグルメを楽しみながら、効率よく移動できる魅力的な旅行プランです。

この記事では、台湾を鉄道で一周することをテーマに、台湾一周の距離や所要時間、モデルコース、高鉄と台鉄の違い、そして費用について詳しく解説します。

また、台湾での鉄道旅行をさらにお得にするためのチケット情報として、TR-PASS、THSR PASS、Taiwan PASSなどの乗り放題パスも紹介します。台湾を鉄道で一周するための情報を網羅したこの記事を参考に、素晴らしい旅を計画してください。

本記事で説明するポイント
・台湾を鉄道で一周する際の距離や所要時間とモデルコース
・高鉄と台鉄の違いと台湾一周での利用方法
・台湾での鉄道旅行をお得にする乗り放題パスの紹介

台湾を鉄道で一周する旅の基本情報

台東駅の太魯閣号

まず、台湾を鉄道で一周するのにかかる距離と時間について説明し、台湾各地方での観光やグルメを楽しみながら一周するモデルコースも紹介します。また、台湾一周では必須不可欠の台鉄と、時短に絶大な効果を発揮する高鉄とについて、その違いを詳細に説明します。

台湾を鉄道で一周するのにかかる距離と時間

台東駅のキョコウ号

台湾を鉄道で一周する際の距離は、どの鉄道路線を利用するかによって多少の差はありますが、おおむね900km前後となります。台湾の鉄道は、台湾の沿岸部にある主要な都市を結ぶ形で一周ぐるりと囲むように形成されており、右回り、左回りどちらでも、一筆書きで一周することができます。

台湾を鉄道で一周するための所要時間については、全て台鉄の特急列車(後述する「自強号」など)を利用すると、例えば;

  • 台北06:29発-台東11:00着(乗車時間:4時間30分)
  • 台東13:35発-台北21:40着(乗車時間:8時間5分)

以上が最短コースの一例となり、この場合、乗り継ぎ時間をあわせると15時間10分(乗車時間:12時間35分)かかります。この例では、ひたすら鉄道に乗るだけの旅にはなりますが、頑張れば一日でも台湾を一周できてしまいます。

もちろん、各地での観光やグルメなどを楽しみながら旅するのであれば、一日あたり鉄道での移動に使える時間は限られてきます。例えば、一日あたりの平均移動時間を4時間以内にするのであれば、台湾の一周には4日間は欲しいという計算になります。

このように、台湾を鉄道で一周する際には、鉄道に乗る以外に何をするのかを考慮し、そのために必要な各地での滞在時間を計算に入れて計画を立てることが重要です。また、高鉄(台湾高速鉄道)のある区間では、台鉄ではなく高鉄を利用して短い移動時間で距離を稼ぐという方法も適宜取り入れれば、より柔軟な旅行計画を立てることができるでしょう。

台湾を鉄道で一周するモデルコースの紹介

嘉義駅の自強号

ここでは私が実際に旅行したスケジュールをもとにアレンジした、台湾を鉄道で一周するモデルコースを紹介します。4日間かけて台湾各地方での観光やグルメを楽しみながら一周する例となります。

台湾一周の1日目

台湾の玄関口である桃園国際空港への早朝到着便を利用。到着後、まず桃園国際空港からMRTで高鉄桃園駅へ移動。桃園国際空港から高鉄桃園までの距離は7km。

桃園06:49発の高鉄(台湾高速鉄道)を利用して嘉義(高鉄)08:09着。桃園から嘉義までの距離は190km。

高鉄の嘉義駅からバスで台鉄の嘉義駅に移動し、嘉義10:00発の阿里山森林鉄道を利用して阿里山14:56着。阿里山の森林での散策や夕陽の鑑賞をして阿里山のホテルで宿泊。

台湾一周の2日目

阿里山でのご来光鑑賞などの後、阿里山11:50発の阿里山森林鉄道を利用して嘉義15:45着。嘉義(台鉄)16:06発の普悠瑪号で台東18:55着。嘉義から台東までの距離は267.5km。台東では、ホテルにチェックインした後、夜市などでグルメを楽しみます。

台湾一周の3日目

台東06:45発の自強号で花蓮08:54着。台東から花蓮までの距離は150.9km。花蓮駅前からバスに乗って太魯閣渓谷を観光する。

その後、花蓮16:30発の自強号を利用して瑞芳18:37着。花蓮から瑞芳までの距離は160.5km。

瑞芳駅からバスで九份老街まで移動。九份老街のホテルにチェックインした後、九份老街でグルメを楽しむ。

台湾一周の4日目

九份老街からバスで瑞芳駅に戻り、瑞芳10:02発の区間車を利用して台北10:48着。瑞芳から台北までの距離は33.5km。台北では観光、グルメ、ショッピングを楽しむ。

その後、台北からMRTを利用して桃園国際空港へ移動。台北から桃園国際空港までの距離は51km。そして、桃園国際空港を夜出発の便で日本へ帰国。

以上のモデルコースでは、台湾を鉄道で一周するのにかかった総移動距離が860.4kmとなります。台湾一周に利用した路線は、MRT、高鉄、台鉄の3種類。途中、阿里山、太魯閣渓谷、九份老街など、人気の観光地を巡るコースとなっています。

高鉄と台鉄の違い

台湾高鉄左営駅にて

台湾での中長距離移動ができる鉄道には“台湾新幹線”とも呼ばれる「高鉄(台湾高速鉄路公司)」と、日本での在来線に相当する「台鉄(国営台湾鉄路股份有限公司)」の2つがあります。それぞれの特徴と違いを理解することで、旅行計画を立てやすくなります。

高鉄について

まず、高鉄は台湾の西側を縦断する高速鉄道で、台北の少し北にある南港駅から高雄の近くの左営駅までの345kmを結んでいます。高鉄の最大の特徴は、その速さです。営業最高速度は300km/hであり、途中停車駅の数にもよりますが、台北から左営(高雄)までの所要時間は約1時間半から2時間程度です(後述する台鉄の「自強号」では台北から高雄まで約4時間半)。また、高鉄で使用する車両は日本の700系新幹線をベースにした700T型で、日本製ということもあり、快適な座席や設備が整っています。

一方、高鉄のデメリットとしては、台北から高雄の間でしか路線が無く、高鉄だけでは台湾一周ができない点です。また、台鉄に比べて料金が高く、後述する台鉄の「自強号」で台北から高雄まで乗車する場合の大人運賃が843元であるのに対し、高鉄で台北から左営(高雄)まで乗車する場合の大人運賃(普通車自由席)は1,445元と1.7倍ほどになります。

従って、台湾一周での高鉄の利用方法としては、台北-高雄間など一部区間において時短目的で利用するのがコスパのよい方法となるでしょう。

台鉄について

一方、台鉄は台湾全土を網羅する在来線で、沿岸部に沿って台湾島全体を囲むかたちで多くの路線があります。先述のとおり、台鉄だけで台湾を一周することが可能です。高鉄のようなスピードは出ませんが、速い列車は最高速度120km/hほどで、日本のJR在来線と同等のスピードです。

台鉄の列車種別は、特急列車に相当する「自強号」、急行列車に相当する「莒光号」、普通列車で快速に相当する「区間快車」と各駅停車の「区間車」があります。料金は自強号が最も高く、次に莒光号、一番料金が安いのが区間快車と区間車です。先述のとおり、自強号よりも高鉄のほうが料金は高くなります。

台鉄で使用される車両については、快適な最新型車両の特急列車から、昔ながらの電気機関車がけん引する客車列車まで、バラエティ豊かです。いろいろな車両を乗り比べることで、台湾での鉄道旅行がより楽しくなります。

従って、台湾一周においては、基本的に台鉄だけで一周することから計画をはじめ、途中どうしても時短が必要だと思われる区間で高鉄を取り入れるようにするとうまくいきます。

台湾を鉄道で一周するのに便利な乗り放題パス

嘉義駅のプユマ号

台湾を鉄道で一周する際の費用は、利用する列車の種類やチケットの種類によって異なります。高鉄のほうが台鉄よりも料金が高く、台鉄のなかでは、特急列車に相当する「自強号」が一番高く、急行列車に相当する「莒光号」、普通列車に相当する「区間快車」と「区間車」の順で料金が安くなります。

一方で、台湾の高鉄や台鉄には、数日間乗り放題になる「TR-PASS」「THSR PASS」「Taiwan PASS」といった各種の乗り放題パスが販売されています。台湾一周での旅のスケジュール次第では乗り放題パスを利用するほうが総額の費用を安く抑えることもできます。以下では、これら乗り放題パスについて解説していきます。

TR-PASSについて

自強3000花蓮駅にて

TR-PASSは、台鉄が発行する乗り放題パスです。台鉄全線で「自強号」から「区間車」までの全種別の列車が、指定された有効期間内で乗り放題。座席指定が必要な列車については何回で座席指定し放題です。

TR-PASSは、基本的に通年で利用可能ですが、春節の時期など一部利用できない期間があります。なお、旧山線や阿里山森林鉄道などは台鉄ではないため、TR-PASSを使用することはできません。

TR-PASSには「一般版」と「学生版」の2種類があります。一般版は誰でも購入可能で、学生版は学生証を持っている学生のみが利用できます。購入場所は、台鉄の主要駅の窓口となり、オンラインでの購入はできません。

TR-PASSには連続した3日間有効な3日券と、連続した5日間有効な5日券とがあります。料金はそれぞれ;

  • 3日券:一般大人1,800元(約8,600円)
  • 5日券:一般大人2,500元(約12,000円)

です。日本の青春18きっぷ(5日間有効)や秋の乗り放題パス(3日間有効)と同じくらいの金額で特急列車にも乗車できるので、日本人にとっては大変お得なきっぷです。

例えば、台鉄だけで台湾を3日間かけて一周する場合、どの都市で途中下車するかにもよりますが、主に自強号を利用すると、乗り放題パスを使わなければ1,950元から2,000元程度かかりますので、TR-PASSの3日券にすれば日本円にして1,000円弱お得になる計算です。

TR-PASSの利用方法は非常に簡単です。「区間快車」や「区間車」など座席指定が不要な列車に乗車する場合は、改札でTR-PASSを提示して入場するだけで乗車できます。ただし、自動改札は利用できないので注意が必要です。

また、「自強号」や「莒光号」などの座席指定が必要な列車は、事前に駅の窓口やオンライン予約をして座席指定券を発券しておく必要があります(オンライン予約した場合は駅の窓口で発券)。その後、改札でTR-PASSを提示して入場し、列車に乗車すればOKです。

TR-PASSを利用する際に注意すべきは、観光列車などの一部の列車にはTR-PASSが使えず、別途料金が必要になる場合がある点です。詳細は、観光列車などの特別な列車に乗車する場合は、TR-PASSが使えるかどうか、駅の窓口で確認、または台鉄の公式サイトで確認しておきましょう。

このように、TR-PASSは台湾を鉄道で一周する際に非常に便利なパスです。計画的に利用することで、効率よく旅行を楽しむことができます。

THSR PASSについて

高鉄の3連ならび

THSR PASS(台湾高鉄周遊券)は、高鉄が発行する乗り放題パスです。パスの種類は、以下の表のとおり、大きく3種類、細かくは5種類となります。

高鉄周遊券台湾高鉄3日パス連続3日間高鉄乗り放題:大人 2,200元
台湾高鉄フレキシブル2日パス7日間のうち任意の2日に高鉄乗車可能:大人2,500元
高鉄・台鉄周遊券台湾高鉄・台湾鉄道標準5日ジョイントパス連続5日間台鉄莒光号(含む)以下の列車乗り放題及び任意の2日に高鉄乗車可能:大人2,800元
台湾高鉄・台湾鉄道特級5日ジョイントパス連続5日間台鉄自強号(含む)以下の列車乗り放題及び任意の2日に高鉄乗車可能:大人3,600元
台湾高鉄片道割引きっぷ指定した日と区間の高鉄普通車両の指定席に1回乗車:大人料金が正規乗車券料金の1.5割引

*注意:THSR PASSは短期滞在の外国籍旅行者に限り購入可能。高鉄は、指定席または自由席に乗車可。「台湾高鉄・台湾鉄道標準」は、座席指定は不可。「台湾高鉄・台湾鉄道特級」は、座席指定は可能だが、観光列車、クルージング列車、自強号のEMU3000系列(ビジネスカー)およびその他台鉄の指定する列車は適用外。

結論から言うと、台湾一周でお得になるのは「台湾高鉄片道割引きっぷ」くらいです。先述のとおり、台湾一周での高鉄の利用は一部区間を時短のために利用する方法ですから、乗車したとしても台北と左営の間を片道で利用するのがせいぜいです。高鉄で台北と左営の間を乗車する際の通常運賃は1,445元(普通車自由席)ですから、「台湾高鉄3日パス」(大人2,200元)でさえ元がとれません。

ちなみに、「台湾高鉄片道割引きっぷ」なら、どのような短い区間でも割引料金が適用されますので、台湾一周において一部区間で高鉄を利用する場合は「台湾高鉄片道割引きっぷ」を申し込むのがお得です。例えば、高鉄で台北と左営の間を乗車する際の通常運賃は1,445元(普通車自由席)ですが、「台湾高鉄片道割引きっぷ」を利用すると大人1,265元となります。

Taiwan PASSについて

平渓線区間車

Taiwan PASS(台湾好玩卡)は、台湾観光庁が発行する乗り放題パスです。Taiwan PASSには2種類あり、1つは「高鉄版」で、高鉄(台湾新幹線)に3日間乗り放題で大人2,500元(約12,000円)、もう1つは「台鉄版」で、台鉄(台湾の在来線)に5日間乗り放題で大人2,800元(約13,500円)です。

また、高鉄版および台鉄版に共通した特徴として、以下のチケットがおまけでついてきます。

  • ①台北MRTの2日間乗り放題、②桃園空港MRTの往復、③台中MRTの48時間乗り放題、④高雄MRT・LRTの2日間乗り放題のうち、いずれか1つ選択
  • ①台湾好行バス清境線往復、②台湾好行バス日月潭線往復、③台湾好行バス阿里山線往復、④台湾好行バス墾丁エクスプレス往復のうち、いずれか1つ選択

ただ、このTaiwan PASS高鉄版の本体部分については、上で紹介した「THSR PASS(台湾高鉄周遊券)」の「台湾高鉄3日パス」(大人2,200元)と同じであり、Taiwan PASS台鉄版の本体部分については、台鉄が発行する「TR-PASS」の「5日券」(大人2,500元)と同じものとなっています。金額的にも、これら本体部分の金額に300元でMRT乗車と台湾好行バスのおまけをつけたものがTaiwan PASSなのです。

先述のとおり、台湾一周での高鉄の利用は一部区間を時短のために利用する方法ですから、Taiwan PASS高鉄版はあまり有用性がありません。一方、Taiwan PASS台鉄版については、MRT乗車と台湾好行バスのおまけを、どれだけ利用するかによってはお得になるケースがあります。

例えば、Taiwan PASS台鉄版で、MRT乗車については「桃園空港MRTの往復」(通常運賃大人320元)と、台湾好行バスについては「台湾好行バス阿里山線往復」(通常運賃大人630元)とを利用すると、台鉄の乗車を1,850元以上利用すれば元がとれてお得になる計算です。この場合、台鉄の部分だけ見ると、台鉄を5日間乗り放題で大人1,850元となるので、TR-PASSの3日券(台鉄に3日間乗り放題)大人1,800元に比べても断然お得になります。

乗り放題パスのメリット

嘉義駅の区間車

以上で説明した通り、「TR-PASS」「THSR PASS」「Taiwan PASS」といった各種の乗り放題パスのメリットは、バラバラでチケットを購入するのに比べて割安になる場合があるという点です。注意すべきは、台湾一周をどのようなルートで旅行するのか、どのような列車に乗車するのか、またバスやMRTはどのくらい利用するのか、などの具体的な旅行内容により、最適な乗り放題パスを選択する必要があり、うまくいけば割安になるし、間違うと逆に割高になってしまうリスクもあります。

鉄道による台湾一周において比較的利用しやすいのは、台鉄に乗り放題できるTR-PASSの3日券または5日券となります。あるいはMRT乗車や台湾好行バスの乗車が条件に合えばTaiwan PASSもあわせて検討すべきでしょう。また、台湾一周の一部区間で高鉄を利用するのであれば、THSR PASSの「台湾高鉄片道割引きっぷ」を利用することで通常運賃よりも割引された金額となるのでおすすめです。

まとめ:台湾を鉄道で一周する旅の魅力と便利な乗り放題パスの使い方

本記事で説明したとおり、鉄道による台湾一周の距離は、おおむね900km前後となり、一周にかかる所要時間は、全て台鉄の特急列車(「自強号」など)を利用すると乗車時間が12時間半ほどで、乗り継ぎ時間をあわせて15時間ほどあれば一日でも一周できてしまいます。

鉄道による台湾一周のモデルコースとしては、本記事で紹介した通り、阿里山、太魯閣渓谷、九份老街など、人気の観光地を巡りながら4日間かけて一周するコースがおすすめです。

また、台湾一周については、使い勝手が良くて値段も安い台鉄に乗車して一周することが基本となりますが、時短のために一部区間で高鉄をとり入れることも有効です。高鉄は台鉄に比べて運賃が高額ですが、スピードが速いので使い方によってはコスパの高い旅行となります。

また、台湾での鉄道旅行をお得にするためのチケット情報として、TR-PASS、THSR PASS、Taiwan PASSなどの乗り放題パスを紹介しました。鉄道による台湾一周において比較的利用しやすいのは、台鉄に乗り放題できるTR-PASSの3日券または5日券です。MRT乗車や台湾好行バスの乗車が条件に合えばTaiwan PASSも有効となります。また、旅行の一部区間で高鉄を利用するのであれば、THSR PASSの「台湾高鉄片道割引きっぷ」を利用すると割引料金で乗車できるのでお得です。

Have a nice trip!

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