ソウルで観れる百済の遺跡「石村洞古墳群」への行き方

2023年7月12日

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韓国の世界文化遺産には、かつての百済王国の都市の遺跡である「百済歴史遺跡地区」というものがあります。白村江の戦いなど歴史の時間に習った百済。日本に最も影響を与えた外国文化のうちのひとつであることは否定できません。そんな百済歴史遺跡地区ですが、残念ながらアクセスが容易であるとは言い難いかもしれません。ソウルから高速鉄道を利用しても片道3時間以上はかかります。

しかし、世界文化遺産に登録された遺跡ではありませんが、ソウル市内にも気軽に訪れることのできる遺跡があります。今回は、そんな遺跡「石村洞古墳群」についてご紹介したいと思います。

石村洞古墳群とは

百済は4世紀中盤から7世紀中盤にかけて朝鮮半島に存在した王国です。同時に存在した高句麗や新羅とともに、朝鮮半島におけるこの時代を三国時代とも呼んでいます。当初の百済の首都は現在のソウルの場所にありましたが、その後、高句麗との争いに敗れ、5世紀後半には南のほうにある公州に遷都することとなりました。

つまり、世界文化遺産に登録されている百済歴史遺跡地区のほうは、首都が公州に遷都してからのもの、百済王国後期のものにあたります。一方、石村洞古墳群は、首都がソウルにあった時代のもの、百済王国前期のものということになります。その時代の百済の王族や貴族などのお墓が石村洞古墳群であるとされています。

韓国文化財庁のサイトの「石村洞古墳群(ソクチョンドンゴブングン)」には次のような紹介がなされています(概要を筆者のほうで和訳しました)。

石村洞古墳群に見られる古墳の形態は「積石塚」と呼ばれ、高句麗初期から現われた高句麗様式の墓とされています。石村洞古墳は百済初期に作られた墓であることが、日本統治時代(戦前)の調査で明らかにされました。古墳群のうちのいくつかは高句麗様式の基壇式積石塚となっています。土地の高低をならして平にし、長く大きな石を枠形に配置し、自然石で塚壇を積み上げて3段にしています。これは、昔の高句麗地域である中国吉林省にある高句麗将軍塚よりも大きいことが明らかにされています。

石村洞古墳群へのアクセス方法

下の地図にある通り、地下鉄のソクチョン駅(Seokchon)が最寄駅となります。ソクチョン駅の6番出口か7番出口から地上に出て、目の前の大通り(Baekjegobun-ro)をまっすぐ西に200mほど歩けば古墳公園の入口となります。目印としては、北側に123階建てのロッテワールドタワービルが見えます。このビルに向かって左手の方向に進めば正解です。駅からは徒歩5分ほどでしょうか、とても近いです。

ソクチョン駅は、地下鉄8号線と9号線の乗換え駅となっておりアクセスが便利です。地下鉄9号線は金浦空港からの路線として利用する方も多いと思いますが、急行と各駅停車の2種類が運行されています。ソクチョン駅は急行も停車しますので便利ですね。

ちなみに、ソクチョン駅の1つ手前(金浦空港方面の次の駅)にソクチョンゴブン駅(Seokchon Gobun)というのがあります。漢字で書くと「石村古墳駅」なので、石村洞古墳群へのアクセスはこちらのほうが便利なのかな、と思ったのですが、実際には石村洞古墳群の位置はソクチョン駅とソクチョンゴブン駅とのほぼ中間にあって、どちらの駅からもほぼ同じ距離となっています。ソクチョンゴブン駅は急行が停車せず各駅停車だけの利用なので、あえてソクチョンゴブン駅を利用するメリットはなさそうです。

石村洞古墳群のある古墳公園のレビュー

石村洞古墳群のある古墳公園は入場無料で、緑が多く静かで広い公園となっています。私は平日のお昼ごろに訪ねましたが、近所の方がちらほらと散歩に来ている程度で、観光客は私だけだったようです。ところどころにベンチもありますので、古墳を眺めながらゆっくりと時間をすごすことのできる場所です。

入口を入ってすぐのところに積石塚の大きな古墳がありました。日本で見られる土を盛った形の古墳ではなく、文字通り石を積んだ構造物です。正確な表現ではありませんが、小ぶりのピラミッドに近いようなイメージかもしれません。日本の古墳とは全然違うものですね。

ロープが張られており、古墳のそばまでは立ち入ることができませんし、実際に手で触ることもできませんが、肉眼でも細かい部分まで十分観察することができる距離にあります。どの古墳も360度周囲をグルっとまわって見ることができるようになっている点も、とても観察しやすくできていました。

古墳公園内には積石塚の古墳は4基ほどありました。そのほか、円墳が1基ありました。この円墳はとっても小さなものでしたが、形状は日本で見られる円墳とほぼ同じもののようです。

発掘調査中で立入禁止になっている区画もありました。私が行ったときは、ちょうど研究者の方々が中に入って調査活動を行っていました。まだまだ未発掘のものが多いようですね。

古墳を見ながら古墳公園内を一周しました。ゆっくり見ても30分もあれば一周して一通り見学できる感じです。気候のいい日なら、飲み物やお弁当を持ってきてベンチでくつろぐのにもいい感じです。ロッテワールドタワーと古墳、現代と古代のモニュメントの組み合わせもなかなか絵になりますね。

まとめ

ソウル市内にある石村洞古墳群はとてもアクセスが便利で、手軽に行ける百済遺跡です。ソウル観光の定番「ロッテワールド」からも地下鉄で1駅の距離ですので、ソウル観光のおまけとして立ち寄ってみられてはいかがでしょうか。

Have a nice trip!