東京近郊で体験できる台湾文化、その2「關帝廟」と「横濱媽祖廟」をご紹介

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台湾の文化と言えば道教寺院や媽祖廟ということで、前回は東京にある「東京媽祖廟」をご紹介しましたが、今回は「その2」として、これまた東京から日帰りで手軽にお参りできるところにあるのですが、横浜中華街にある「關帝廟」と「横濱媽祖廟」をご紹介しようと思います。

關帝廟とは

「關帝廟」は横浜中華街にある道教寺院です。その創建年は古く、横浜開港3年後の1862年。横浜に居留する中国人が祠を建てたのが始まりとされています。日本では明治になる前の江戸時代末期、中国では国名が清国であった時代です。その後、関東大震災、大戦時の空襲、火災によって三度も焼失と再建を繰り返し、現存するものは1990年に建立された四代目だそうです。

關帝廟でお祀りする主祭神は、關帝の名のとおり「關聖帝君」です。關聖帝君は、西暦160年前後の後漢、三国時代にかけて活躍した実在の武将。交通安全・商売繁盛・入試合格・ 学問などにご利益があるとされています。

そのほかにも、国泰平安のご利益がある「玉皇上帝」、除災・健康のご利益がある「地母娘娘」、解難・健康・縁談・安産のご利益がある「観音菩薩」、金運・財産安全のご利益がある「福徳正神」と、あわせて五柱の神様をお祀りしています。

關帝廟の見どころは何と言っても建築物のすばらしさ、道教文化を感じることのできるディーテールだと思いますが、多くの人に人気なのは、道教式で「神筈(しんばえ)式」という"おみくじ"です(200円)。日本のおみくじとはやり方が全く違うので、事前にサイトで確認するか、現地の係の人に教えてもらう必要があります。おみくじの文面は日本語で記載されていますので心配は要りません。

なお、この記事のタイトル名では「台湾文化」と書きました。道教文化は中華圏で共通の文化なので、台湾文化を体験できるというのは間違いではありませんが、關帝廟に関しては、その由来などにおいて台湾よりも大陸側とのかかわりがより深いという点については一言お断りしておきます。

關帝廟へのアクセス

關帝廟は横浜中華街の中心部にあります。最寄り駅は、JR根岸線の「石川町駅」か、みなとみらい線の「元町・中華街駅」。どちらも400m~500mの距離で徒歩5、6分と便利ですが、下の地図にあるとおり、「元町・中華街駅」からのほうが若干近いです。

横濱媽祖廟とは

媽祖信仰とは道教の一種であり、その主祭神が航海・漁業の守護神である「媽祖」=「海洋を守る女神」になっているというものです。中国沿海部の福建省や潮州を中心に信仰されており、特に台湾では広く信仰されています。

「横濱媽祖廟」の創建年はさほど古くなく2006年です。この敷地に大型マンションが建設される予定でしたが、地元中華街の組合が中華街の“街づくり"の観点からこれに反対し、施工主との協議の結果、マンション建設は中止、敷地は組合側が買い取ることになったそうです。

なぜこの敷地に媽祖廟を建てることになったのかと言うと、この敷地に隣接する山下町公園は明治時代の清国領事館の跡地であり、昔そこには媽祖廟を意味する「天后宮」が祀られていたという記録があったが、今は無くなっている、ということ。また、先述した「關帝廟」には、昔、廟内に媽祖が祀られていたと伝えられているが、今はそれも無くなっていることなどから、中華街に媽祖廟を再建しようとする「横濱媽祖廟再建プロジェクト」が発足しました。こうして、建設が進められ、台湾最初の官建の台南市大天后宮より分霊されるかたちで、2006年に「横濱媽祖廟」が完成されました。

横濱媽祖廟でお祀りする主祭神は、もちろん媽祖様=「天上聖母」です。家内安全・商売繁盛・心願成就・開運成就・身体健全・社運隆昌・交通安全・ 旅行安全・厄難削除・合格成就など、多くのご利益があるとされています。

そのほかにも、国泰平安のご利益がある「玉皇上帝」、縁結びの神様である「月下老人」、子宝の神様である「註生娘娘」、学問の神様である「文昌帝君」、安産の神様である「臨水夫人」、金運招財・財産安全にご利益のある「福徳正神」と、多くの神様をお祀りしています。なお、横濱媽祖廟でも關帝廟と同様の「神筈(しんばえ)式」の"おみくじ"が引けます(200円)。

横濱媽祖廟へのアクセス

下の地図にあるとおり、横濱媽祖廟も横浜中華街の中にあります。さきほどの關帝廟からは300m足らずしか離れていませんので、横浜中華街に行く際には、これら2つの廟を一度にお参りするのがおすすめです。

關帝廟の参拝レビュー

横浜中華街にある「関帝廟通り」という賑やかな通り沿いに關帝廟はあります。もちろん「関帝廟通り」という通りの名前は、關帝廟から由来しています。通りに面して色鮮やかで大きな牌楼門がありますので迷うことはありません。

券売機でお線香を購入

小さな階段を登って牌楼門をくぐると、広場のような境内になっており、その奥に本殿が鎮座しています。境内には、切符売り場のような「受付」があり、その横に券売機があって、お線香や金紙を買うことができます。券売機でチケットを買って、それを受付の人に渡すとお線香や金紙を渡してもらえます。

システム的には拝観料というのは無いのですが、本殿に入るためには最低でも1人5本セットの線香を1セット(500円)は購入しなければなりません。金紙(1,000円)とは、神様への金銭の献上で、願いが叶えられた時のお礼を意味します。本殿内の供物台にお供えした後、境内にある金炉(金神紙専用の炉)で燃やします。初めて關帝廟をお参りする場合には線香1セットだけ購入すれば問題ありません。

お線香をもって階段を上がり本殿へ

受付の人が線香に火をつけてくれますので、それを持って本殿へ向かいます。一対の中国式狛犬の横に本殿へ上がる階段があります。中国式狛犬は日本の神社とは違って、阿吽が分かれておらず、左右どちらも口を開けています。どこの道教寺院でも同じような形なので、もしかすると製造メーカーが1社独占なのか、規格が統一されているのか、どちらなのかもしれません。

本殿へ上がる階段は左右2つあり、道教寺院では右から入って左から出るのが作法です。ここでも親切に「入口」と「出口」の標識があるので迷うことはありません。

5つの香炉にお線香を捧げる

階段を上がると本殿前のテラスがあって、そこに5つの香炉がありますので、手に持っている5本のお線香を1本ずつこの香炉に捧げます。それぞれの香炉には關帝廟にお祀りする五柱の神様がお一人ずつお祀りされています。香炉をまわる順番が決まっていますが、1~5まで番号がついていますので、その番号順にお線香を捧げればいいので簡単ですね。

本殿では神様の前で膝をついてお祈り

続いて本殿内に入り、「玉皇上帝」、「關聖帝君」、「地母娘娘」、「観音菩薩」、「福徳正神」の順に参拝します。ここでも順番が決まっていますが、1~5まで番号がついていますので、迷うことはありません。各神様の前には、ちょっと固めのクッションのような拝礼台があり、そこに膝をついて合掌し、住所・氏名・生年月日を告げて自己紹介した上で願い事を告げるようにします。

最後に神筈式おみくじを引く

以上が済んだら、おみくじを引きたい人は、係の人に言って、おみくじを引きます。神様の前にある供物台から、「簽桶」(おみくじ棒が入った器)を持ち、住所・氏名・生年月日と具体的な願い事を告げ、おみくじ棒が一本飛び出すまで「簽桶」を振ります。その後、「神筈」(しんばえ)といわれる三日月形の神具(2個1組)を床に投げ落とし、1個が表、もう1個が裏なら、先ほどのおみくじ棒を係りの人に渡し、おみくじを受け取ります。裏と裏、表と表が出た場合は、おみくじ棒を引くところからやり直しです。

混雑しているときには、おみくじの順番待ちで時間がかかりますが、そうでなければ30分くらいで一通りのお参りができます。線香が1人500円というのは、ちょっと高く感じるかもしれませんが、柱の彫刻や本殿内の装飾など、なかなか見ごたえがありますので、決して損はしないと思います。

横濱媽祖廟の参拝レビュー

關帝廟を出て左手方向(山下公園方面)へ関帝廟通りを200mほど行くと、「横浜大世界」というアミューズメント施設に突き当たります。この突き当りを右に曲がり、「南門シルクロード」を50m足らず進むと、右側に横濱媽祖廟の牌楼門が見えます。關帝廟に勝るとも劣らぬ存在感があります。牌楼門のそばには、ご利益を書いた看板や由緒書きなどもあり、日本の神社風なのが面白いです。

システムは關帝廟とほぼ同じ

牌楼門をくぐると、こちらも広場のような境内になっており、その奥に本殿が鎮座しています。境内の脇には、關帝廟と同様に切符売り場のような「受付」があり、その横に券売機があって、お線香や金紙を買うことができるようになっています。關帝廟と全く同じシステムで、券売機でチケットを買って、それを受付の人に渡すとお線香や金紙を渡してもらえます。

ここでも本殿に入るためには最低でも1人5本セットの線香を1セット(500円)を購入しなければなりません。金紙(1,000円)のほうは任意というのも同じです。とりあえず線香だけを買って本殿へ向かいます。横濱媽祖廟では、本殿のテラスで線香に火をつけてもらうので、受付では火のついていない線香をもらいます。

龍のレリーフから右の階段で本殿へ

境内の奥には一対の中国式狛犬があります。關帝廟と同じタイプの中国式狛犬ですが、色が奇麗な白で新しさを感じます。

一対の狛犬の間に階段があり、迫力ある二頭の龍のレリーフがある踊り場から階段が左右に分岐しています。ここでも道教寺院の作法どおり右から入って左から出るのですが、「入口」と「出口」の標識があるので、ここでも迷うことはありません。

本殿前テラスでの香炉のお参り

階段を上がると本殿前のテラスに係の人がいて、線香に火をつけてくれます。初めてだと言えば参拝のやりかたなど詳しく説明してくれますので有難いですね。媽祖廟のパンフレットや、欲しい人は中華街の地図などもここでもらうことができます。

参拝の手順は横濱媽祖廟でもほぼ同様で、まず本殿前のテラスにある5つの香炉に、手に持っている5本の線香を1本ずつ捧げていきます。それぞれの香炉には神様がお一人ずつお祀りされています。ここでも香炉をまわる順番が決まっていますが、同様に1~5まで番号がついていますので、その番号順にお線香を捧げればOKです。

本殿内では媽祖様にお祈り

続いて本殿内に入り、媽祖様=「天上聖母」の神様と、この媽祖様を左右でお守りする神様を参拝します。各神様の祭壇前にクッションのような拝礼台がありますので、そこに膝をついて合掌し、住所・氏名・生年月日を告げて自己紹介した上で願い事を告げます。ちなみに、横濱媽祖廟の本殿内の装飾もたいへん豪華で、見ごたえ十分でした。

参拝後に神筈式おみくじ

以上が済んだら、係の人に言って、おみくじを引きます(線香に火をつけてもらうときに、先に言っておいたほうがいいかもしれません。)。關帝廟と同様の「神筈(しんばえ)式」のおみくじ(200円)です、システムも同じです。おみくじに記載されているお言葉は日本語なので安心です。

これで一通りのお参りは終了です。金紙を買った人は本殿内でお供えした後、境内にある炉で燃やしますが、係の人に言えば案内してもらえます。あと、境内の受付では各種のお守りも販売しています。とても和風に思えたので私は購入しませんでしたが、ご利益が無いわけではないでしょうから、ご興味のある方は購入してみてもいいかもしれません。

まとめ

關帝廟と横濱媽祖廟を参拝することで、中国文化であり台湾文化でもある道教の文化を満喫することができました。参拝の作法や神筈式おみくじなど、日本の神社やお寺とは全く異なっていて、興味深いとともに、なかなか複雑だと思いました。言葉の通じない現地では体験することが難しいものですが、ここでは日本語で親切に案内してもらえますので、正しい作法を理解して安心して参拝でき、異文化を学ぶことができたのは大きな収穫でした。

横浜中華街に行かれる際には、關帝廟と横濱媽祖廟にも立ち寄られることを、おすすめいたします。

Have a nice trip!