特急「踊り子」と路線バスで辿る「伊豆の踊子」ルート

2023年1月1日

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東京から出ている特急「踊り子」の終着駅は伊豆急下田と修善寺の2ヵ所になるわけですが、川端康成の小説「伊豆の踊子」の舞台は、修善寺と下田を結ぶ下田街道。肝心の部分に鉄道はありませんが、路線バスを利用して修善寺から下田方面へ移動することができます。

言うまでもなく特急「踊り子」のネーミングは「伊豆の踊子」に由来します。特急「踊り子」に乗るからには「伊豆の踊子」ルートを辿ってみようと思い立ち、今回も日帰りですが、東京から特急「踊り子」と路線バスで「伊豆の踊子」ルートを走破してみました。意外と楽しかったのでご紹介してみようと思います。

東京からの「伊豆の踊子」ルート概要

東京(首都圏)からの「伊豆の踊子」ルートの概要ですが、まず東京から鉄道により修善寺駅を目指します。小説「伊豆の踊子」での旅程にあわせて修善寺から下田へ向かいますので、東京(首都圏)からの最初の目的地は修善寺です。

東京から修善寺へ行く鉄道の選択としては「新幹線+普通電車」という方法もありますが、小説「伊豆の踊子」にちなんで特急「踊り子」の利用にこだわってみます。東京から修善寺に一番早い時間に着けるのが、東京発9:00・修善寺着11:08の特急「踊り子3号」ですので、日帰りで「伊豆の踊子」ルートを走破するには、これを利用します。

東京から修善寺へのアクセス方法の詳細や修善寺での観光については、こちらの記事でも紹介していますので、興味のある方は読んでみてください。

修善寺駅からは「伊豆の踊子」ルートの肝となる下田街道(国道414号線)です。ここでの移動は東海バスC50系統の修善寺駅発・天城峠経由・河津駅行きを利用します。河津駅から先、伊豆急下田駅までは別の路線バスに乗り換えて行くこともできますが、下田街道からは大きく外れたルートになってしまいます。河津駅から伊豆急下田駅までは鉄道(伊豆急行線)を利用するほうが、比較的下田街道に近いルートとなるので、こちらを採用します。

C50系統の路線バスは、修善寺駅から河津駅まで約1時間半を乗り通すこともできますし、途中下車して旧天城トンネルのある旧街道を歩いて見ても面白いと思います。日帰り旅行の場合には時間も限られますので、このあとの下田での観光などとの兼ね合いで取捨選択する必要があります。

河津駅からは伊豆急行線で伊豆急下田を目指します。特急と普通がありますが、乗車時間はいずれも15分前後で変わらないので、ここは普通電車で行きたいところです。

伊豆急下田駅に着いたら、いよいよ小説「伊豆の踊子」の最後である別れのシーンとなる「別れの汽船のりば跡」を訪ねます。駅から900mほどですので、「別れの汽船のりば跡」だけの見物であれば徒歩により往復30分で十分です。

伊豆急下田駅から東京(首都圏)に戻るにも鉄道を利用します。行きと同様、移動方法には「新幹線+普通電車」という方法もありますが、小説「伊豆の踊子」にちなんで特急「踊り子」の利用にこだわります。

利用できそうな特急「踊り子」は、伊豆急下田15:07発の特急「踊り子16号」や伊豆急下田16:01発の特急「踊り子18号」(池袋行き)、運転日に注意が必要ですが、伊豆急下田15:23発の特急「踊り子56号」、伊豆急下田16:59発の特急「踊り子20号」、伊豆急下田18:15発の特急「踊り子58号」などがあります。グリーン車以上だけの編成となり割高になりますが、伊豆急下田16:34発の特急「サフィール踊り子4号」(運転日要注意)もおすすめです。

日帰りで「伊豆の踊子」ルートを巡ってみてのレビュー

以上で紹介した「伊豆の踊子」ルートを東京からの日帰りで行ってきましたので、その感想などを共有させていただきます。なお、本記事で紹介する鉄道やバスについては、運行時刻の変更や運賃の変更などの可能性がありますので、実際に旅行される場合には最新の情報を確認いただけますようお願いします。

東京から特急「踊り子3号」で修善寺へ

東京発9:00・修善寺着11:08の特急「踊り子3号」を利用しました。前回利用した特急「踊り子3号」は185系という古い車両でしたが、今回は新しく導入されたE257系の車両でした。185系に比べて揺れが少なく乗り心地は向上したように思います。何より有難いのは電源コンセント(窓側席のみ)が設置されている点です。

あと、185系とは異なる点は、全席指定席となったことです。「新たな着席サービス」というものであり、特急券を事前購入せずに乗車することができ、空席があれば座ることができるものですが、特急券を事前購入しない場合には車内で割高な料金で購入しなければいけません。仕組みはちょっと複雑ですが、予めスケジュールを組んで旅行する場合には、乗車前に座席を指定した特急券を購入しておくことがベストです。

修善寺駅から東海バスC50系統で河津駅へ

特急「踊り子3号」は修善寺11:08着で、これに接続する東海バスC50系統は修善寺駅11:35発です。30分弱の時間がありますので、駅で電車の撮影をしたり、お土産物を見たりしながらゆっくりする時間がありました。

東海バスの修善寺駅バス停(バスターミナル)は駅の出口を出てすぐ前にあるので迷うことはありません。バス停の横に待合室を兼ねた建物があり、そこにバスのチケット売場窓口があります。車内では交通系ICカードが利用できませんが、現金支払いは可能です。スムーズに降車できるように予めチケット(修善寺駅から河津駅1,730円)を買っておきました。

ただ、このチケットは「途中下車前途無効」となっていますので、もし仮に途中で気が変わって旧天城トンネルに立ち寄るために途中下車するとか、トイレに行くために途中下車するとか、そんなハプニングが起こったら運賃を損することになっていたことでしょう。ある程度、途中下車の可能性があるようなら、事前にチケットは買わずに、整理券をとって乗車して現金支払いするほうがよかったのかもしれません。

とはいえ、今回は修善寺駅から河津駅までの約1時間半を途中下車することなしに乗り通しました。座席はよくある普通の路線バスで、長時間乗車するにはそれほど快適とは言えませんが、車窓からの眺めは見ていて飽きることはありませんでした。ときどき現れる温泉街の集落を縫いながら山の奥深いところを走るルートは、小説「伊豆の踊子」で踊子らが辿った旅程に近い感じなのかな、と思いました。

「伊豆の踊子」に出てくるものではありませんが、路線バスからの最大の見どころは国道414号線にある「河津七滝ループ橋」。高低差45mを2重らせんで継いだ高架橋で、河津の名所にもなっています。バスはこの河津七滝ループ橋を通ってグルグル回転しながら下降します。周りの景色がダイナミックに変化するので、ジェットコースターのようで楽しかったです。

旧天城トンネルに立ち寄る場合の参考情報

小説「伊豆の踊子」でも登場する「旧天城トンネル」については、わたしは以前行ったことがあったので、今回は下田での観光時間を充実させるべく省略してしまいましたが、あとで考えると旧天城トンネルにも立ち寄っておくべきだったと後悔しています。

旧天城トンネルを訪ねる場合は、C50系統の路線バスを「水生地下」というバス停で下車します(修善寺駅11:35発のC50系統では水生地下に12:17着)。下の地図のとおり旧街道に入って旧天城トンネルを抜け、二階滝の横を通って国道414号線に戻ります。近くに「二階滝」というバス停があるので、そこからまたC50系統の路線バスに乗って河津駅に向かいます。

「水生地下」バス停から「二階滝」バス停までを旧天城トンネル経由の旧街道で行くと4.5kmほどあるので、散策には1時間くらいは見ておいたほうがいいでしょう。「水生地下」バス停に12:17着でスタートした場合、「二階滝」バス停から乗車できそうな次の便は13:06発ですが、少々きついかもしれません。その次の便は14:01発となり、こちらならゆっくり散策を楽しめそうです(この場合、河津駅には14:42着)。

河津駅から鉄道で伊豆急下田駅へ

河津駅バス停は駅の正面にあります。「伊豆の踊子」の銅像も建っています。ここでバスを下車して河津駅から伊豆急行線で伊豆急下田を目指しました。C50系統の路線バスは河津駅に13:02着、これに接続できるのは河津駅を13:42発の伊豆急下田行き普通電車です。特急なら13:13発(土日祝日など)や13:18発もありましたが、所要時間が15分程度とほとんど変わらないのに追加料金を支払うのももったいないので、13:42発の便まで待つことにしました。40分ほど時間ができたので、ここで昼食をとることにしました。河津駅の周辺には何軒か食事のできるお店がありましたが、わたしは、駅前のお蕎麦屋さんに入りましたが、ほかにも海鮮丼のお店などもありました。

ちなみに、路線バスを途中下車して旧天城トンネル経由の旧街道を散策してから河津駅に向かった場合には(「二階滝」バス停14:01発に乗った場合)、河津駅に14:42着となり、河津駅15:09発の伊豆急下田行き普通電車に接続できます。この場合、河津駅での昼食では時間的にも遅くなるので、旧街道を散策する際に途中でお弁当(現地には無いので要持参)を食べるような感じになるのではないかと思います。

伊豆急下田駅から徒歩で別れの汽船のりば跡へ

河津13:42発・伊豆急下田13:56着。下田での目的は、小説「伊豆の踊子」のラストシーンとなる「別れの汽船のりば跡」を訪ねることです。下の地図にもあるとおり、駅から900mほどですので、ここだけなら往復30分あれば十分です。ただ今回は下田が初めてだったため、小説「伊豆の踊子」とは関係ないのですが、寝姿山やペリーロードのほうも観光することとしました。

まず最初に、伊豆急下田駅からすぐのところにある下田ロープウェイに乗って寝姿山に登りました(往復1,250円)。

ここは山頂の展望台からの景色が素晴らしいということと、愛染堂という綺麗なお堂にお参りできることが魅力となります。愛染堂の御朱印は、下田ロープウェイの切符売り場で御朱印帳を預けておき、帰りに御朱印が記帳された御朱印帳を受け取るというシステムになっているので、待ち時間によるロスがなくて便利でした。

寝姿山からロープウェイで降りたあと、徒歩10分ほどで「別れの汽船のりば跡」へ到着。ここは小型の漁船が停泊している岸壁で、「別れの汽船のりば跡」と書かれた小さな案内板がポツンと立っているだけですので、見落とさないように気を付けましょう。

小説「伊豆の踊子」のラストシーンの場所なんだなあ、というだけで、あまり見るものは無いところでした(ガッカリ系の観光スポットかも)。ちなみに、ここから更に1kmほど行くと伊豆諸島へのフェリーが出ている神新汽船のフェリー乗り場がありますが、こちらは「伊豆の踊子」とは関係ないので間違えないようにしてください。

そのあとは、すぐ近くのペリーロードに移動。レトロな雰囲気の川沿いの小路で、雰囲気の良いお店がたくさん並んでいます。散策しながらカフェで休憩。

このペリーロード付近の史跡としては、日露和親条約の締結された長楽寺、日米和親条約の付属条約、下田条約が締結された了仙寺があり、興味があったので立ち寄ってみました。

そうこうしているうちに時間が過ぎ、伊豆急下田駅に戻ると16時過ぎになっていました。今回の下田での観光には2時間ほどかかったことになります。なお、旧天城トンネルに立ち寄った場合には、河津15:09発・伊豆急下田15:22着の普通電車となりますので、下田で上記と同様の観光をした場合には伊豆急下田駅には17時半ごろに戻れる計算となります。

伊豆急下田から特急「サフィール踊り子4号」で東京へ

東京への戻りは、ちょっと値段は高くなりましたが、伊豆急下田16:34発の特急「サフィール踊り子4号」のグリーン車を利用しました。日帰り旅行の帰路として早過ぎず、日没前に海岸沿いの景色を車窓から楽しむのに遅すぎない丁度良い時間だということと、パノラマ仕様になっている先頭8号車(グリーン車)の席がとれたからという理由からでした。ちなみに、東京発の下りは先頭1号車(プレミアムグリーン車)がパノラマ仕様になります。グリーン車よりも更に高い値段ですが、次回はこちらにも乗ってみたいと思いました。

特急「踊り子」のグリーン車としては、以前乗ったことのあるのが185系ですから、比較するのも申し訳ないですが、座席の豪華さやら車内の設備やらとにかく別世界と言う感じでした。

パノラマからの前面展望については悪くはなく、そこそこ楽しめましたが、前から4列目だったこともあり、期待していたほどの大きな感動はありませんでした。次回は早めに予約して最前列をとるべきでしょうね。

なお、特急「サフィール踊り子」は利用せず、出費を抑えたい場合は、伊豆急下田15:07発の特急「踊り子16号」や伊豆急下田16:01発の特急「踊り子18号」(池袋行き)になったかもしれませんが、下田での観光時間が少なくなるので、何かを削る必要がありそうです。また、運転日は要注意ですが、伊豆急下田16:59発の特急「踊り子20号」や伊豆急下田18:15発の特急「踊り子58号」などは観光時間を削らずに利用できるかと思います。

旧天城トンネルに立ち寄るとともに、下田でもしっかり観光をした場合、伊豆急下田駅に戻れる時間が17時半頃ですから、伊豆急下田18:15発の特急「踊り子58号」であれば日帰り可能となりそうです。あるいは、「別れの汽船のりば跡」とペリーロードだけをさっと見るという方法なら16時半には伊豆急下田駅に戻れますので、特急「サフィール踊り子4号」にも間に合いそうです。

まとめ

往復に特急「踊り子」を利用して路線バスで「伊豆の踊子」ルートを走破する日帰り観光はいかがでしたでしょうか?修善寺駅から河津駅までの路線バスは観光用のものではありませんが、車窓からの眺めは素晴らしく、小説「伊豆の踊子」の世界を感じることができるものでした。

わたしは、旧天城トンネルと旧街道のほうに以前行ったことがあったため、今回のルートでは旧天城トンネルと旧街道の散策を省略して下田観光を充実させましたが、「伊豆の踊子」にこだわるという趣旨からは、旧天城トンネルと旧街道の散策をしておけばよかったな、と少し後悔しています。

また、修善寺での観光なども取り入れると最低でも一泊は必要になります。その場合には、「伊豆の踊子」のゆかりの宿「福田屋」などがある湯ケ野温泉は、C50系統の路線バスの途中バス停なので便利です。

小説「伊豆の踊子」についてもっと知りたい方には以下がおすすめです。

書籍: 伊豆の踊子 (新潮文庫)
映画: 伊豆の踊子

Have a nice trip!