東京から修善寺へ日帰り旅行-特急「踊り子」の利用が便利

2023年1月1日

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以前の記事では東京から伊東や下田方面に行く方法として、特急「踊り子」や「新幹線+普通」の比較をしました。今回は、特急「踊り子」を利用して、この列車のもうひとつの行き先である修善寺へ東京から日帰り旅行する場合についてご紹介いたします。また後半では、修善寺での観光レビューについてもご紹介いたします。

交通手段は特急「踊り子」と「新幹線+普通」

東京と修善寺の間は特急「踊り子」が、平日2往復、土日祝3~4往復(2021年4月時点)の頻度で運行されています。所要時間は約2時間10分、全車指定席であり、運賃は、自由席利用で4,270円、指定席利用で4,800円です。事前購入の指定席特急券と乗車券とをあわせて4,610円です(事前購入せず車内で特急券を購入すると260円増し)。

他方、「新幹線+普通」では、新幹線「こだま」または「ひかり」(三島駅に停車する「ひかり」は少ないので要注意)で、東京駅から三島駅までが45分前後、伊豆箱根鉄道駿豆線の普通列車で三島駅から修善寺駅までが35分くらいです。全行程の所要時間は待ち時間が発生するため1時間40分くらいになります。運賃は、新幹線部分(自由席利用)が4,070円、伊豆箱根鉄道駿豆線の普通列車部分が520円となり、あわせて4,590円です。三島駅に停車する新幹線の運行頻度は30分に1本程度、伊豆箱根鉄道駿豆線の普通列車が15分に1本程度です。

以上より、柔軟なスケジュールに対応できて効率重視という観点からは「新幹線+普通」が有利でありますし、乗り換え不要という便利さに加えて、鉄道旅の趣を感じられるという観点からは特急「踊り子」のほうが有利ということになります。鉄道好きのわたしからは、行きか帰りの少なくとも一方は特急「踊り子」を利用していただくことをおすすめします。

おすすめのスケジュールとしては、行きは東京駅AM9:00発・修善寺駅AM11:08着の特急「踊り子3号」を利用し、帰りは観光が終わり次第「新幹線+普通」で東京へ戻るというコースです。帰りも特急「踊り子」を利用する場合には、修善寺駅PM15:39発の特急「踊り子16号」が最終になってしまいます。この時間までに観光を終えるのも可能ではありますが、日帰り観光で午後4時前に帰るのはちょっと早すぎるかな、という感じがします。「新幹線+普通」の利用なら修善寺駅を午後7時すぎに出ても東京に午後9時前に到着できますので、こちらのほうがゆっくり楽しめます。

修善寺での現地移動手段について

修善寺での観光の見どころは、修善寺駅から2.5kmほど西にある修禅寺を中心とした修善寺温泉に集まっています。修善寺駅から修善寺温泉までは東海バスの路線バスが1時間に3,4本の頻度で運行しており、所要時間10分弱で運賃は220円(現金のみ)です。修善寺での現地移動手段でおすすめなのが、この路線バスで修善寺駅から修善寺温泉まで往復し、現地は徒歩で観光するという方法になります。

もうひとつの選択肢としてはレンタサイクルがあります。修善寺駅をでてすぐのところにある「いずベロ」で、1,000円/4時間、2,000円/1日の料金で電動アシスト付き自転車を借りることができます。例えば、修禅寺からさらに西へ5kmほど離れた「修禅寺 奥の院」を観光したい場合には有効な選択ですが、修善寺温泉周辺の観光のみの場合はあまりメリットはありません。

というのも、修善寺温泉周辺の観光は自転車で回れるような道にはなっておりません。日帰り温泉「筥湯」の無料自転車置き場が指定された駐輪場になっていて、ここに自転車を停めて徒歩で観光することになります。それでも自転車で修善寺温泉へ行きたいという人への情報ですが、修善寺駅AM11:08着の特急「踊り子3号」で来て、修善寺駅PM15:39発の特特急「踊り子16号」で東京に戻るという場合には、1,000円/4時間のコースが丁度いい感じになります。また「いずベロ」の自転車返却場所は修善寺温泉にもありますので、1,000円/4時間のコースで修善寺温泉にて返却し、その後は温泉に入って路線バスで修善寺駅に戻るという使い方もいいかもしれません。

修善寺の日帰り観光レビュー

12月はじめ頃、紅葉の終盤あたりに東京から日帰りで修善寺を旅してきましたので、そのレビューを簡単にご紹介します。行きは特急「踊り子」を利用し、帰りは「普通+新幹線」を利用しました。

修善寺駅で特急「踊り子」を鑑賞する

特急「踊り子3号」はAM11:08定刻に修善寺駅へ到着。約2時間の列車の旅は趣があって楽しかったです。徐々に車窓の風景が変化していって都会から離れて自然豊かな土地へ向かっているその感覚が大好きです。三島から伊豆箱根鉄道駿豆線に入っていくあたりは、これぞローカル線という感じがしました。

さて、修善寺駅は伊豆箱根鉄道駿豆線の終着駅、ターミナル駅です。ホームから改札口へ向かうところ、つまり車止めのあるところからは真正面に列車を見ることができます。終点ということもあり列車は長く停車していますから、じっくり鑑賞できますし、写真撮影も好きなだけできるので、鉄道好きな方にはチャンスですね。

今回、乗った特急「踊り子3号」の車両は185系という国鉄時代からの古い車両でした。2021年の春には引退して新車両にリプレースされると発表されていますので、今回が乗り納めになりそうです。思い出に残る楽しい乗車になりました。いい写真も撮れてよかったです。(*185系「踊り子」は2021年3月に惜しまれつつ引退し、現在は全てE257系の車両で運行されています。)

あと、伊豆箱根鉄道の普通電車の一部車両にはアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」のラッピングが施されていました。駅構内には等身大POPもありましたので、アニメとタイアップしているようです。ファンの方は是非写真に収めていってください。

路線バスで修善寺温泉へ

修善寺駅前から「修善寺温泉行」の路線バスに乗車。修善寺温泉に停まるバスの路線は、「修善寺温泉行」のほか、「修善寺虹の郷行」や「河津駅行」など複数あるようですので、乗車前に運転手さんに確認してみるといいでしょう。

運賃220円は現金のみです。スイカやパスもなどの交通系ICは使えないのでご注意ください。お釣りは出ませんので、ぴったりのお金が無い場合には運賃箱横の両替機で両替してからの支払いになります。ただし、お札は1,000円札しか両替できません。

乗車して10分ほどで修善寺温泉のバス停に到着。修善寺駅方面に戻るバスも同じバス停から発車しますので、帰りもここに戻ってくればOKです。

見どころが集まっている修善寺は効率的に観光できる

修善寺温泉のバス停の前の道を西方面に進むと両側にお土産物店などが並ぶ賑やかな通りになっています。お店をのぞきながら進むと「日枝神社」があり、そのすぐ先には「修禅寺」と、バス停からのアクセスは非常に便利です。更に修善寺での見どころである「独鈷の湯」、「指月殿」、桂川にかかる渡月橋や虎渓谷橋など赤い欄干の綺麗な橋、日帰り温泉の「筥湯」、「竹林の小径」などは修禅寺から徒歩5分圏内です。やや遠い観光スポットと言えば「源範頼の墓」ですが、それでも修禅寺から600mと徒歩10分あれば行けます。通常、複数の見どころスポットがある場合には予め効率的に移動できるコースを考えておくべきなのですが、ここ修善寺に関しては行ったり来たりウロウロしても移動距離が短いので時間的ロスが少なく、自然と効率的な観光ができてしまいます。

昼食は名物の「修善寺そば」がおすすめ

修善寺温泉のバス停に着いたのがAM11:30頃だったので、混雑する前に早めの昼食としました。一旦、修禅寺前の虎渓橋を渡って桂川の対岸へ。修善寺の風景といえば、この赤い欄干の橋と桂川ですよね。とくに紅葉の季節は感動的です。

「修善寺そば」がここの名物とのことなので、こちらで人気のあるお店「四季紙」さんで“天ざる”を頂きました。天ざるのお味もなかなかでしたが、レトロな旅館風の店内もなかなか趣があって、修善寺の気分をたっぷり味わうことのできるランチタイムとなりました。

ちなみに、「四季紙」さん以外にも雰囲気の良さそうなお蕎麦屋さんはたくさんありましたので、次回は他のお店も試してみたいです。

修禅寺と日枝神社はセットで参拝

お腹も一杯になったので観光をスタート。まずは修禅寺です。ここは807年に空海が創建した古いお寺です。

空海ですから、もともとは真言宗のお寺でした。名前も地名と同じ「修善寺」だったとか。鎌倉時代に禅宗の1つである曹洞宗に改宗したことにより、「善」の字を禅宗の「禅」に改めて今日に至るという説もあるようです。「修禅寺」に改めてからは、源範頼や源頼家がここに幽閉されて修善寺の地で殺害されるなど、悲しい歴史ではありますが、ドラマに満ちた場所でもあります。

境内や本堂は想像していたよりもこじんまりしていましたが、さすがに荘厳さが漂っています。面白かったのは、手水舎から温泉のお湯が出ていること。「大師の湯」(つまり空海が湧かせたお湯)とあり、なんと飲むこともできるのだそうです。ご利益がありそうなので一口飲んでみました。

御守りや御朱印は本堂横の寺務所で授かります。私は入場しませんでしたが、時間に余裕があって興味のある方は宝物殿に行ってみてもいいかもしれません。入場チケット(300円)は寺務所で購入できます。

続いて日枝神社へ移動。日枝神社は修禅寺の境内の横に隣接しているのですが、直接通り抜けることができなくなっており、かなり遠回りになりますが、一旦、修禅寺の正面の道路に出てからバス停側に少し戻って日枝神社の正面入口の鳥居のとこから入ります。神仏分離前は修禅寺の境内社「山王院」であったものが明治以降に日枝神社として独立したのだとか。源範頼が幽閉されていた信功院という建物は、今の日枝神社の境内にあったそうです。ただし、信功院は現存せず石碑のみが建っています。

日枝神社の境内には「夫婦杉(子宝の杉)」と言って、根本が一つで上は二股に分かれている不思議な杉の木があります。これが夫婦円満と子宝のパワースポットとなっており、現在の日枝神社の人気の所以でもあります。とくに若いご夫婦で参拝される方々が多かったように思います。社務所で御朱印をいただき次のスポットへ移動します。

温泉を湧かせた空海の神秘パワーを感じる独鈷の湯

続いて、桂川のほとりにある「独鈷の湯」へ移動。平安時代の807年のこと、親孝行の息子が、病に苦しむ父親をいたわり桂川の水で体を洗っていたところ、通りかかった空海がその姿に胸を打たれ、「川の水では冷たかろう」と親子に声をかけ、手にしていた独鈷(仏具の一種)で川の中の岩を打ち温泉を沸出させたのが由来だそうです。

空海はきっと自然科学の知識も豊富なお坊さんで、修禅寺を建築する際の土木工事でこの地に温泉が湧くことを知ったのではないかな、とふと考えてしまいましたが、それにしても日本中で多くの民のために尽くされた有難い方だったというのは間違いなさそうです。修善寺の町のあちこちに空海を顕彰する石碑や石像などがあります。修善寺温泉全体が空海のパワーで満たされているような、そんな感じがしないでもないです。

ちなみに、現在、独鈷の湯は入浴禁止です。足湯も禁止となっていますので、ご注意ください。無料の足湯は、独鈷の湯より少し奥に行ったところにある「河原湯」がおすすめです。また、入浴は後述の日帰り温泉「筥湯」がおすすめです。

指月院から源範頼の墓と源氏の悲しい歴史をたどる

独鈷の湯から戻り虎渓橋を渡ってやや奥の入り組んだ路地に入っていきますと指月殿があります。修善寺で暗殺された我が子の頼家の冥福を祈って母の政子が修禅寺に寄進した経堂です。伊豆最古の木造建築物といわれ、堂内には禅宋式という珍しい様式の「丈六釈迦如来座像」が安置されています。釈迦如来像は見事なものでしたが、建物は質素な造りのお堂であり、このような隠れた静かな場所に造るというのが悲しい事件を物語っているような気がしました。

次は源範頼の墓に移動です。ちょっと距離がありますが、とはいえ徒歩10分くらいです。途中、「竹林の小径」を通っていきました。その名の通り竹林です。写真撮影には面白い場所だと思います。

竹林の小径の突き当りを右に曲がって楓橋を渡り、桂川に沿って左に進みます。途中に「しゅぜんじ回廊」という美術ギャラリーがあります。入場無料なので興味のある方は立ち寄ってみてもいいと思います。

「しゅぜんじ回廊」を過ぎてずっと進んで突き当りの大きな道を右手に進み、細い路地に入って小高い丘に登って行くと源範頼の墓があります。ここも寂しくひっそりとした場所でした。お参りに来る人はチラホラいるみたいです。

お参りしたあと、近くにあるカフェ「芙蓉」に入りました。古民家を使った雰囲気のいい茶庵です。

お菓子付きの抹茶をいただきました。部屋から見たお庭の景色も落ち着いて風情があります。

最後の締めは日帰り温泉「筥湯」

そうこうしているうちに時間もPM15:30になろうとしていましたので、最後の締めとなる日帰り温泉「筥湯」に向かうことに。修禅寺前の虎渓橋よりも1つバス停側にある渡月橋を渡ったあたりに筥湯はあります。「仰空楼(ぎょうくうろう)」という展望楼が目印です。源範頼の墓からは徒歩10分ちょっとです。

この筥湯の由来ですが、源頼家は「筥湯」という名の温泉に入浴していた時に刺客に襲われたのだとか。現「筥湯」の近くでその当時の筥湯の跡らしき遺構が発見されたのだそうです。なるほど歴史的な意味では感慨深いですが、いわくつきのお風呂ということは落ち着いて入浴できなさそうな。

入浴料350円とリーズナブル。中はそれほど広くないですが、ヒノキ造りのお風呂でいいお湯でした。お湯につかると、さっきの由来の話はすっかり忘れてリラックスできますので、ご安心ください。入浴後に展望楼「仰空楼」(入場無料)に登ってみようと思っていたのですが、2020年12月時点では一時閉鎖となっていました。修善寺温泉の町が一望できるそうなので、いつかまた再開したら来てみたいです。

なお注意点ですが、筥湯では、タオル(100円)、石鹸(50円)、シャンプー&リンス(50円)が全て有料です。購入は入口の番台となりますので、中に入ってから無いことに気づいて番台に戻ることが無いようにしてください。ちなみに、わたしはタオルや石鹸を持参して行きました。

筥湯から出て修善寺温泉のバス停に戻り、路線バスに乗車して修善寺駅に着いたのがPM17:00過ぎでした。そこから「普通+新幹線」で東京に戻ったのがPM19:30頃。もう少しゆっくりしてもよかったかもですね。現地でちょっと早めの夕食をとってからのほうがよかったかもしれませんね。

まとめ

修善寺は町のいたるところで空海のパワーが満ちていてる感じがしまし。源氏の悲しい歴史の舞台という一面はあるものの、そこがかえって「わびさび」というスパイスになって修善寺の魅力となっているのかなと感じました。

寺社や史跡だけではなく、「修禅寺そば」などの美味しい食べ物や、良質の温泉もあります。日帰り観光には丁度いい広さという点も有難いです。首都圏からの日帰り観光にはおすすめのスポットです。

そして、首都圏から修善寺に向かう場合は、往路に特急「踊り子」を利用するのがおすすめです。乗り換え不要で便利ですし、在来線の特急というのは、やっぱり旅情が違いますしね。

修善寺から下田方面へ「伊豆の踊子」ルートを走破する記事はこちらです。

特急「踊り子」と路線バスで辿る「伊豆の踊子」ルート

Have a nice trip!