観光列車「おいこっと」の紹介、予約方法や乗車レビュー

2023年7月28日

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長野県と新潟県を結ぶJR飯山線では、土日祝日を中心に観光列車「おいこっと」が運行されています。

「おいこっと」という列車名は、「TOKYO(東京)」の綴りを逆さまにして読んだ「OYKOT(オイコット)」に由来し、大都会の東京とは真逆な、田舎のふるさとの雰囲気を楽しめることを特徴とする列車です。

今回では、この観光列車「おいこっと」の簡単な紹介とともに、予約方法や、私が実際に乗車した際の乗車レビューをご紹介します。

観光列車「おいこっと」の紹介

観光列車「おいこっと」は、千曲川/信濃川(長野県では「千曲川」、新潟県では「信濃川」と名称が違う)に沿った飯山線を走行します。車窓からは、曲がりくねる千曲川/信濃川とともに山間や田園の風景などを楽しむことができます。

「おいこっと」の列車設備と座席紹介

「おいこっと」は、キハ110系という気動車の2両編成からなる列車です。座席配置はローカル線の普通列車とほぼ同じものであり、各車両には4人掛け(2×2)のボックス席、その反対側に2人掛け(1×1)のボックス席、窓を背に並んで座れるロングシートが車両の両側に設置されています。

座席の上には荷物棚があり、吊り革があるのも普通列車と同様です。そのほか、列車設備としては、車椅子対応トイレが出入口横に、各車両1箇所ずつ設けられています。

列車設備について普通列車との違いは、クッションのきいた座席になっている点と、ボックス席やロングシートには車内で軽食をとるのに便利なテーブルが設置されている点となります。座席にリクライニングはありませんが、座り心地がよく、長時間の乗車でも疲れないようになっています。

また、車両の外観とともに、内装のデザインも古民家風になっているのも、「おいこっと」ならではの特徴と言えます。

「おいこっと」の運転区間、運転日、時刻表及び停車駅

「おいこっと」の運転区間は、長野駅から十日町駅の間(86.1km)の1日1往復となっています。大部分はJR飯山線ですが、長野~豊野の区間(10.8km)だけは第三セクター「しなの鉄道」の北しなの線での走行となります。

「おいこっと」の運転日は、基本的には、土曜、日曜、祝日であり、GWなどの連休中はカレンダー上の平日でも運行されることがあります。

各運転日における「おいこっと」の時刻表及び停車駅は以下のとおりです。

【往路便】長野発・十日町行き

長野 替佐 飯山 北飯山 戸狩野沢温泉 上境 森宮野原 津南 十日町
9:17 9:42 9:55着

10:10発

10:14 10:23 10:30 11:00着11:05発 11:19 11:42

【復路便】十日町発・長野行き

十日町 津南 森宮野原 上境 戸狩野沢温泉 北飯山 飯山 替佐 長野
13:05 13:30 13:43 14:16 14:22着14:27発 14:36 14:39着15:16発 15:30着15:35発 16:02

比較的長時間停車するのは、往路便では、飯山(15分停車)、森宮野原(5分停車)。復路便では、戸狩野沢温泉(5分停車)、飯山(37分停車)、替佐(5分停車)。往路便、復路便ともに、飯山駅での停車時間が長くなっています。

飯山駅では「おいこっと」の運転日に合わせて、在来線改札口を出た2階コンコースにおいて、「おいこっとまるしぇ」という出店が催されており、地域の土産品(農産物、笹ずし、お菓子など)が販売されていますので、飯山駅の停車時間中に買い物を楽しむことができます。

また、同じく飯山駅のコンコースには「からくり時計」があり、毎時00分に人形による舞が曲に合わせて披露されます。曲名は、「神楽囃子」、「ふるさと」、「おぼろ月夜」の3曲。往路便では10:00に、復路便では15:00に、「からくり時計」による人形の舞を鑑賞することができます。

「おいこっと」へのアクセス

東京~長野は、新幹線を利用すると所要時間1時間20~50分ほど。東京~十日町は、東京~越後湯沢を新幹線、越後湯沢~十日町を北越急行ほくほく線の利用で所要時間2時間ちょっと。往路便が、長野9:17発/十日町11:42着、復路便が、十日町13:05発/長野16:02着であることから、東京首都圏からであれば、往路便、復路便ともに、日帰りで十分乗車することができます。

観光列車「おいこっと」の予約方法

観光列車「おいこっと」は、全車指定席の臨時快速列車として運転されます。乗車するには「乗車券」と「指定席券」の2つが必要となります。以下、それぞれについて説明します。

「おいこっと」の乗車に便利な乗車券

「おいこっと」の乗車におすすめなのは「週末パス」8,880円です。「週末パス」は、土日祝日などの連続する2日間有効なJR東日本のフリーパスです。山形・宮城以南エリアのJR東日本線と「しなの鉄道」や「北越急行」などいくつかの私鉄線の乗車券として乗り降り自由で利用できます。

「週末パス」は、GWの連休期間、お盆の期間、年末年始など例外的に利用できない時期はありますが、それ以外の土日祝日ならOK。「おいこっと」の運行日も基本的には土日祝なので、ほぼ問題なく利用できます。また、「週末パス」なら、新幹線特急券を追加購入することで新幹線にも乗車できるので使い勝手がいいです。

ちなみに、「週末パス」がどのくらいお得か調べてみましょう。例えば、東京都区内から新幹線で長野へ行き、長野から「おいこっと」の往路便と復路便に乗車して、長野から東京都区内へ新幹線で戻る場合の乗車券は次のようになります。

東京都区内~長野(222.4km)の乗車券が4,070円。往復で8,140円。長野~豊野(しなの鉄道北しなの線)の乗車券が260円。往復で520円。豊野~十日町(75.3km)の乗車券が1,520円。往復で3,040円。以上を合計すると、11,700円となります。「週末パス」8,880円を使うほうが、2,820円もお得です。

また例えば、東京都区内から新幹線で長野へ行き、長野から「おいこっと」の往路便のみ乗車して、十日町から越後湯沢、越後湯沢から新幹線で東京都区内に戻る場合、あるいは逆に、東京都区内から新幹線で越後湯沢へ行き、越後湯沢から十日町へ移動、十日町から「おいこっと」の復路便のみ乗車して長野へ、長野から新幹線で東京都区内に戻る場合の乗車券は次のようになります。

東京都区内~長野(222.4km)の乗車券が4,070円。長野~豊野(しなの鉄道北しなの線)の乗車券が260円。豊野~十日町(75.3km)の乗車券が1,520円。十日町~六日町(北越急行ほくほく線)の乗車券が340円。六日町~越後湯沢~東京都区内(216km)の乗車券が3,740円。以上を合計すると、9,930円となります。「週末パス」8,880円を使うほうが、1,050円もお得です。

なお、「大人の休日倶楽部パス」でも、「週末パス」とほぼ同様に「おいこっと」の乗車に便利な乗車券として利用することができます。ただし、「大人の休日倶楽部パス」では、長野~豊野(しなの鉄道北しなの線)の部分がフリーエリア外となり、この区間の乗車券260円が別途かかりますので注意が必要です。あらかじめ長野駅で「長野~豊野」のきっぷを購入しておくか、「おいこっと」の車内で車掌さんから購入する必要があります。

「おいこっと」の指定席券の予約方法

「おいこっと」は全車指定席のため、乗車するには上述した乗車券のほかに指定席券の予約・購入が必要となります。「おいこっと」の指定席券は、一般的なJR各社の列車と同様、全国JR各駅の「みどりの窓口」、おもな旅行会社などで、乗車1ヶ月前の午前10時から予約・購入が可能です。ちなみに、「おいこっと」の指定席券の料金は乗車距離にかかわらず530円(通常期)となります。2023年10月乗車分から840円(通年)に変更。

また、「おいこっと」の指定席券はJR東日本「えきねっと」などのオンラインサービスでも予約・購入可能です(JR西日本「e5489」では列車が表示されなかったので、予約できないかもしれません。)。オンラインサービスでも基本的には乗車1ヶ月前の午前10時から予約・購入できますが、オンライン独自のものとして、乗車1ヶ月前+1週間前より予約の受付ができる「事前予約」と呼ばれるサービスがあります。

「事前予約」では、事前に予約を受け付けておいて、乗車1ヶ月前の午前10時のタイミングで実際の予約・購入の処理をしてくれるものですが、確実に予約がとれるものではなく(私もこの事前受付を利用して席が取れなかったこともあります)、乗車1ヶ月前の午前10時のタイミングで自分の代わりに予約を代行してくれるサービスくらいの感覚で利用するのがいいでしょう。

なお、「えきねっと」で「おいこっと」の指定席券を予約・購入する場合、ロングシートの予約は単に「おいこっと」という列車名で表示され、2人掛けや4人掛けのボックス席の予約は「おいこっと(ボックス)」という列車名で表示され、それぞれ区別されていますのでご注意ください。

「おいこっと」に乗車できるツアーに参加するというのも面白いかもしれません。

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観光列車「おいこっと」の乗車レビュー

私は2023年7月に長野駅から十日町駅までの「おいこっと」往路便に乗車しました。以下、乗車してみたレビューをご紹介します。

長野駅では「おいこっと」の撮影がおすすめ

往路便「おいこっと」は、長野駅の在来線4番のりばより9:17に発車しますが、4番のりばへの入線は発車10分前の9:07頃です。発車までの停車時間が10分もありますので、長野駅では「おいこっと」の撮影がおすすめです。私は9:00ごろから反対側ホームである2番のりばに移動して「おいこっと」の入線を待機。

すると、遠くのほうから可愛いカラーリングの2両編成「おいこっと」がこちらへ向かってくるのが見えました。動いている「おいこっと」を見ることができるのは、この長野駅でしかないので、この入線シーンの見物は見どころの1つと言えます。

この日は他に写真撮影をする人もいませんでしたので、入線シーンから停車中の姿まで、ゆっくりと写真撮影を楽しむことができました。

千曲川・信濃川に沿った風景を眺める旅

「おいこっと」が走行するJR飯山線は、千曲川・信濃川という大きな川に沿って走行する区間が多く、車窓からは川沿いの美しい風景を楽しむことができました。ちなみに、同じ川なのですが長野県では千曲川と呼び、新潟県では信濃川と呼ばれています。

川沿いの風景とは言っても単調なものではなく、雄大な山間の風景だったり、大きなダムがあったり、どこか懐かしさを感じる田園の風景だったりします。列車の走行音を聞きながらボーっと車窓を眺めているだけでも飽きることがありませんでした。

おすすめの車窓は千曲川・信濃川に面する進行方向(十日町方向)に向かって右側です。2人掛け(1×1)のボックス席が車窓を見るのに有利だと言えます。私は、千曲川・信濃川とは反対側のロングシートだったのですが、車内を立ち歩いて景色の良い窓から車窓を眺めたり写真撮影をしたりしていたので、それほど不便は感じませんでした。

車内でのサービスとイベント

「おいこっと」の車内ではアテンダントさんによる車内販売がありました。私が乗車したときの車内販売のメニューは下の写真の内容でした。気温30度を超える暑い日だったので、「バニラアイス」(340円)が売れていました。

私も「バニラアイス」を1つ頂きましたが、これはスジャータの製品で、東海道新幹線の車内で販売されている“硬いアイス”と同じものだと思います。「おいこっと」で買ったものは良い具合に柔らかくなっていて、“硬いアイス”ではありませんでしたが、味はいつもの美味しい味でした。

また、「おいこっと」の車内では飯山駅の手前あたりで、地元の観光協会の方が観光パンフレットと地元で作ったトマトジュースを配ってくれました。トマトジュースは深みのある味の美味しいジュースでしたので、とても得した気分になりました。なお、「おいこっと」のホームページによると、こうした車内での「ふるまい」の内容はその時々で違うようです。

そのほか車内イベントとして、地元の方による語り(地元方言での語り)や沿線情報の案内などが車内放送や車内設置のモニターを使って実施されましたが、車内が騒がしかったためよく聞き取れず、残念ながらあまり楽しむことができませんでした。観光列車はグループで乗車する人も多いので、ある程度騒がしいのは仕方ないですね。

飯山駅での長時間停車

往路便の「おいこっと」では、途中の飯山駅と森宮野原駅で長めの停車をします。飯山駅では15分と長時間停車。森宮野原駅では5分停車します。

まとまった停車時間のある飯山駅では、ホームへ降りるとすぐに階段を上がって2階改札口外のコンコースに出て、「おいこっとまるしぇ」という出店を見に行きました。なお、途中下車できない乗車券を持っている場合でも「おいこっと」の乗客は改札口の外に出ることができますのでご安心ください。

「おいこっとまるしぇ」では、地域の土産品(農産物、笹ずし、お菓子など)が販売されていて、何か食べるものを買いたいなと思って見ているとすぐに時間が過ぎてしまい、急いで列車に戻ることになりました。同じコンコースにある「からくり時計」が10:00に鳴っていたのに見物もできず失敗してしまいました。15分停車はちょっと短いかなという印象です。ちなみに復路便では飯山駅に37分停車しますので十分な時間だと思います。

飯山駅を出た後は、森宮野原駅で5分停車しますが、森宮野原駅では特にこれといった催しはありませんでした。また、飯山駅、森宮野原駅ともに、列車の撮影にはあまり向いている駅ではありません。

十日町駅でも「おいこっと」の撮影が可能

往路便「おいこっと」は11:42に終着の十日町駅に到着しました。十日町駅ではホームに降りて跨線橋を渡り改札口のあるホームへ移動すると列車を良い具合に撮影できます。

「おいこっと」は復路便の出発時間13:05まで停車していると思われますので、十日町駅ではゆっくり撮影することができます。結局、「おいこっと」の撮影チャンスは始発の長野駅と終着の十日町駅との2回あることになります。

まとめ

以上のとおり、観光列車「おいこっと」では、千曲川・信濃川に沿った車窓から田舎のふるさとの雰囲気ある美しい風景をのんびりと楽しむことができます。

また、「おいこっと」は観光列車のなかでは比較的予約は取りやすく、乗車券も「週末パス」などを利用すると大変お得に乗車できます。

往路便の「おいこっと」を十日町駅で下車し、昼食を済ませた後、十日町13:05発の復路便の「おいこっと」で長野に戻ってもいいですし、あるいは十日町14:49発の別の観光列車「越乃Shu*Kura」に乗り継いで上越妙高まで行くのも面白いと思います(「週末パス」もそのまま使えるのでお得です)。

ぜひ一度、「おいこっと」の列車旅を楽しんでみてください。

Have a nice trip!