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台北市内から1時間半ほどのところにある「九份」(「九分」と表記することもある)は、今や台湾屈指の観光スポット。宮崎駿監督のアニメ「千と千尋の神隠し」の世界観を想起させるようなノスタルジックな街の雰囲気は、まるで異世界に来たような気持にさせられます。
今回は、台北から鉄道やバスで九份老街を日帰り観光する方法についてご紹介してみたいと思います。
九份老街について
九份は、台湾島の北部、基隆市の東隣に位置する山間の小さな街です。近くで金鉱が発見され、日本統治時代に金の採掘で村が発展したことから、明治・大正時代にかけての日本の面影を色濃くとどめた街となりました。その当時に造られた路地や石段、料理店などの建物が現在でも多数残されており、「九份老街」(「老街」とは古い街)と呼ばれて親しまれています。
その後、日本では2001年に公開されたアニメ「千と千尋の神隠し」のモデルになったのが、この九份老街じゃないかと噂になったことから知名度が上がり、観光スポットとして注目されるようになりました。
九份老街へのアクセス方法
台北市内から九份老街へのアクセス方法は大きく分けて2通りがあります。1つは、台北市内から路線バスに乗って乗換なしで九份老街へ行く方法。もう1つは、台北市内から鉄道で瑞芳駅まで行き、そこから路線バスに乗り換えて九份老街へ行く方法です。以下、それぞれを説明いたします。
台北市内から路線バスで九份老街へ行く方法
この方法は途中での乗換えが無く、所要時間も後述する方法に比べて30分程度短縮できることがメリットであり、台北市内から途中寄り道せずに九份老街へ直行するのであれば、(”帰り”は別として”行き”のアクセス方法としては)最もおすすめできる方法です。この路線バスは「965系統」と「1062系統」の2種類があります。
台北客運965系統バス
この台北客運965系統バスは、台北市の南側、板橋方面にあるMRT府中駅バス停から、台北市内のいくつかのバス停を経て高速道路を経由し、九份老街バス停に停車、さらにその先の金瓜石方面に行くバスです。30分~40分間隔で運行されており、台北市内から九份老街までの所要時間は渋滞などがなければ1時間前後となります。運賃はNT$90で、現金のほか、悠遊カード(台湾で使える交通系ICカード)での支払いも可能です。ちなみに現金の場合はお釣りが出ないようなので、小銭の準備をお忘れなく。なお「悠遊カード」については以下の記事をご参考にしてください。
965系統バスが停車する台北市内のバス停は、台鉄萬華駅バス停、MRT西門駅バス停、中華路北バス停、そしてMRT北門駅バス停の4ヵ所となりますが、おすすめなのはMRTの駅に近くて利用しやすいMRT西門駅バス停とMRT北門駅バス停になります。
MRT西門駅バス停は、下の地図の場所にあります。MRT西門駅の2番出口から地上に出て、道路沿いを南方向に200mほど歩いた場所にあります。「965」という番号が書かれたバス停の看板があるので、その場所で待っていればバスが止まってくれます。
MRT北門駅バス停は、下の地図の場所にあります。MRT北門駅の2番出口から地上に出て、その目の前にあります。ここでも「965」という番号が書かれたバス停の看板があるので、その場所で待っていればバスが止まってくれます。
965系統バスは路線バスとは言っても、MRT北門駅バス停から先、瑞芳の手前あたりまでは高速道路を通るため、2×2列の座席配置でシートベルトも設置されている本格的な車両です。個々の車両によるのかもしれませんが、車内で無料Wifiが利用でき、各座席の足元には電源コンセントも設けられているようです。とても快適な路線バスだと言えます。ちなみに、高速道路区間は着席乗車が必須であるため、万一、満席の場合には次の便を待つ場合もあるようです。
バスを降りる場合ですが、車内に次の停留所を知らせる電光掲示が出ますので、「九份老街」と出たら降車ボタンで知らせます。なお、悠遊カードを利用する場合には、乗車時だけでなく降車時にもカードを機械にタッチさせます。
基隆客運1062系統バス
この基隆客運1062系統バスは、台北市のMRT忠孝復興駅バス停から、台北市内のいくつかのバス停を経て高速道路を経由し、九份老街バス停に停車、さらにその先の金瓜石方面に行くバスです。こちらは15分~20分間隔で運行されており、上でご紹介した965系統よりも便数が多くなっています。ただ、台北市内から九份老街までの所要時間は渋滞などがなくても1時間半弱はかかり、バス停が多い分、965系統よりも若干所要時間がかかります。
運賃もNT$101と965系統より少しだけ高くなっています。同様に、現金のほか、悠遊カードでの支払いが可能です。現金の場合はお釣りが出ない点も同様ですので、小銭の準備をお忘れなく。
1062系統バスが停車する台北市内のバス停はいくつかあるのですが、MRTの駅の近くであり、しかも1062系統バスの始発バス停でもあるMRT忠孝復興駅バス停の利用がおすすめです。MRT忠孝復興駅バス停は、下の地図の場所にあります。MRT忠孝復興駅の2番出口から地上に出てすぐの道路沿いにあります。SOGO百貨店の横です。「1062」という番号が書かれたバス停の看板があるので、その場所で待っていればバスが止まってくれます。
1062系統バスも高速道路を通るため、2×2列の座席配置でシートベルトも設置されている本格的な車両です。残念ながら私が利用したときは車内の無料Wifiや電源コンセントなどのサービスはありませんでした。また、この1062系統バスも高速道路を利用するため、着席での乗車が必須となります。そのため、万一満席の場合には次の便を待つ必要がありますが、1062系統バスの始発バス停でもあるMRT忠孝復興駅バス停を利用すれば、始発ですから、列に並んでいれば何台も待ち続けることは無いと思いますので、連休などで大混雑が予想されるような場合には、リスクが低く、おすすめかもしれません。
バスを降りる場合ですが、1062系統バスもほぼ同様です。車内に次の停留所を知らせる電光掲示が出ますので、「九份老街」と出たら降車ボタンで知らせます。悠遊カードを利用する場合には、乗車時だけでなく降車時にもカードを機械にタッチさせます。
台北市内から鉄道と路線バスで九份老街へ行く方法
この方法は鉄道(台湾国鉄=台鉄)で台北駅から瑞芳駅まで行き、瑞芳駅で路線バスに乗り換えて九份老街に行く方法です。運賃は鉄道(NT$44)と路線バス(NT$15)とあわせてNT$59と、とても安いですが、所要時間は、乗り継ぎにかかる時間にもよりますが、片道1時間半~2時間程度となり、上でご紹介したバスだけで行く方法に比べると使い勝手は良くないようにも思えます(”行き”のアクセス方法としては、です。)。
旅のプランにもよると思いますが、例えば、瑞芳駅から平渓線に乗り換えて30分の十份駅で「ランタン上げ」(線路の上でランタンを空に飛ばす)を楽しんだり、瑞芳駅の隣の駅の猴硐駅で「猴硐猫村」(猫カフェがあり、とにかく猫が多い)を楽しんだりと、鉄道中心の移動プランの最後に九份老街を観光するような場合には、瑞芳駅で路線バスに乗り換えて九份老街に行く方法を利用するのが、おすすめであろうと思います。
台鉄で瑞芳駅へ
台鉄により台北駅から瑞芳駅に行く列車は何種類かあります。普悠瑪号、太魯閣号、自強号、莒光号、区間快速、区間車です。普悠瑪号と太魯閣号とは全車指定席(指定席券でないと乗車できない)なので使い勝手が良くありません。自由席で乗車できる自強号や莒光号、あるいは全席自由席である区間快速や区間車の利用がおすすめです。乗車券は、駅の窓口や券売機で購入します。悠遊カードによる乗車も可能です(ただし、指定席での乗車は不可)。
自強号は特急、莒光号は急行のカテゴリとなる列車です。座席指定の無い自由席でも乗車できますが、「自由席車両」というものが設けられているのではなく、基本的には全車指定席です。自由席で乗車する場合、空いている指定席に座ってもいい、というシステムなので、日本の自由席とは意味が少し違います。自強号や莒光号は、区間快速や区間車よりも運賃が高く設定されていますが(自由席であっても高い)、悠遊カードを使って自由席で乗車する場合には割引が適用され、区間快速や区間車と同じ金額(NT$44)になるので大変お得です。
自強号や莒光号は、特急や急行となるので、瑞芳駅までの所要時間も40分前後と短く便利ではありますが、注意すべき点があります。それは、瑞芳駅を通過してしまう列車もあるということです。乗車時には、車掌さんや駅員さんなどに瑞芳駅に停車するかどうか、確認してから乗車することをおすすめします。
区間快速や区間車は、通勤電車タイプの車両となっており、全席自由席の列車です。いずれも瑞芳駅には必ず停車するので、乗り過ごすことはなく安心です。区間車は各駅停車なので、瑞芳駅までの所要時間は1時間ほどかかってしまいます。区間快速は日本で言う快速電車のようなもので、本数は少ないですが、瑞芳駅までの所要時間は40程度と、自強号なみの速さですから、とても便利です。
瑞芳駅から路線バスで九份老街へ
瑞芳駅を西口側に出ると駅前広場があります。その広場の前の道路を、下の地図にあるように左手方向に200mほど行ったところにバス停があります。バス停は道路を渡った側にあります。
瑞芳駅バス停から九份老街バス停に行く路線バスは、827系統、856系統、788系統、1062系統と種類が多く、本数が多くて便利になっています。高速道路は通りませんので、バスには超満員になって詰め込めるだけ乗車できます。所要時間は15分程度ですが、カーブの多い山道なので座れないと辛いかもしれません。運賃はNT$15で、現金のほか悠遊カードでの支払いが可能です。現金の場合はお釣りが出ないので、小銭の準備をお忘れなく。
バスを降りる場合は、車内に次の停留所を知らせる電光掲示が出ますので、「九份老街」と出たら降車ボタンで知らせます。悠遊カードを利用する場合には、乗車時だけでなく降車時にもカードを機械にタッチさせます。
九份老街から台北への戻り方
九份老街の観光を終えて台北へ戻る場合についてですが、基本的には上でご紹介したアクセス方法の逆ルートと考えていいと思います。ただ、多くの人が九份老街のライトアップを楽しんでから帰りますので、日没後1時間~2時間あたりが非常に混雑することになります。バス停には長蛇の列ができていることも珍しくありません。とくに台北まで行く965系統と1062系統のバスは、満席になると乗車できないことから、乗車するまでに何本も順番を待たなければならない、という状況もあり得ます。
そのような混雑した状況で最初に検討すべきは、瑞芳駅で鉄道に乗り換えて台北に帰る方法をとることです。九份老街バス停(あるいは後述する九份派出所バス停)からは、立ったままでも乗車できる827系統、856系統、788系統のバスを狙って瑞芳駅までなんとか出てしまうことです。立ったままでの山道は辛いかもしれませんが、15分間なんとか辛抱します。瑞芳駅から台北駅までは鉄道なので、仮に座席が無かったとしても、それほど大変ではないと思います。
あと、どうしても台北まで座りたいという場合は、一旦、九份老街より更に山奥となる金瓜石方面にバスで行って、そこから台北方面行きの965系統や1062系統の始発バスに乗るという方法もあるようです。ただし、お金と時間が余分にかかります。
混んでいるときはタクシーさえなかなかつかまりませんが、もしタクシーがつかまったなら、九份老街と瑞芳駅までの間は均一料金NT$205と定められているので、2,3人ならリーズナブルかもしれません。
おすすめはできませんが、最後の手段として九份老街から瑞芳駅まで歩く、という方法も昼間なら可能でしょう。距離的には5kmほどありますが、基本的に下り坂なので1時間程度で行けるかもしれません。しかし暗い夜道、しかも山道を歩くのは危険なので、夜はやめたほうがいいでしょう。
九份老街の観光レビュー
九份老街バス停でバスを下車し、そのバスが走り去った方向に100mほど歩くと右手にセブンイレブンが見えます。セブンイレブンの右横に「九份舊道」という看板がついた路地への入口があります。ここが九份老街のメインストリートの1つである「基山街」の入口です。
基山街はメインストリートとはいえ石畳の細い路地で、両側には様々な商店が並んでいます。どことなく昭和の日本の観光地といった懐かしい雰囲気を味わうことができます。また、ピーナツクレープや草餅など、美味しい食べ物のお店もたくさんありますので、グルメのほうも事前にチェックしておくべきでしょう。
基山街を奥まで進むと、九份の山間の景色を一望できる場所があります。この景色を見ると、よくこんな山奥に商店街を作ったものだと感心してしまいます。しかし、私の行ったときは雨だったので、あまりクリアな景色ではありませんでした。九份は雨が多いらしいので、念のため雨具は持っていったほうがいいかもしれません。
基山街の途中で、九份老街のもうひとつのメインストリートである「豎崎路」が交差しています。観光コースとしてはこの豎崎路を右側に入って行きます。豎崎路は「石階路」とも呼ばれ、石階段でできた路地となっており、その風景が独特の味を出しています。
豎崎路を右側に入って進むと、基本的に下りになるのですが、少し行くと右手に「阿妹茶酒館」という中国茶の喫茶店があります。ここは、その外観が「千と千尋の神隠し」に出てくる「湯婆婆の屋敷」のモデルではないかと一時話題になったことで有名です。その真偽はともかく、確かにこのお店の外観は独特な風情を醸し出しており、是非写真に撮影しておきたいスポットのひとつです。
この阿妹茶酒館もそうなのですが、豎崎路は全体的に提灯が飾られており、日没後はこの提灯が点灯されるので、とても幻想的な景観になります。折角の機会ですので、この豎崎路は日没までねばって観光していって欲しいものです。
ちなみに、豎崎路を最後まで進むとバスの通る道に出ます。ここからは九份老街バス停より2つ瑞芳駅寄りの九份派出所バス停がすぐ近くにあります。帰りは九份老街バス停まで戻らず、九份派出所バス停からバスに乗車するほうが便利です。
まとめ
如何でしたでしょうか?台北から九份老街に行くのは意外と簡単です。台北市内から片道1時間半あれば行くことができます。運賃も高くありません。ただし、混雑するシーズンだけは気を付けた方がいいかもしれませんね。
台湾屈指の観光スポット九份で、ノスタルジックな街の雰囲気を存分に感じてみては如何でしょうか?
Have a nice trip!