台湾高雄にある旧日本軍艦をおまつりする霊廟「鳳山紅毛港保安堂」

2023年7月6日

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日本統治時代のものが多く残されている台湾ですが、その高雄には、旧日本軍艦及び旧日本軍人をおまつりしている霊廟があるというから驚きです。今回は、そんな霊廟「鳳山紅毛港保安堂」についてご紹介してみたいと思います。

鳳山紅毛港保安堂について

終戦直後の1946年(昭和21年)、高雄の紅毛港という漁港に住む漁師が出漁した際、一体の頭蓋骨が魚網に掛かった。漁師は、この頭蓋骨を持ち帰り、かねてから「郭府千歲」及び「宗府元帥」といった無縁仏を供養している小屋の神棚で、これらとともに「海府大元帥」としておまつりした。

海府大元帥をおまつりして以降、大漁が続いたことから、霊験あらたかな神であるとして信仰されるようになり、1953年には保安堂を建立した。また、1990年には降霊により「私は日本第三十八号軍艦の艦長であり、太平洋戦争中に死亡した。日本の護国神社に帰りたい」「部下を郷里に帰すことができず悔やんでいる」と告げられた。”日本第三十八号軍艦”とは1945年に米潜水艦アトゥルの雷撃によりバシー海峡に沈んだ第三十八号哨戒艇(樅型駆逐艦「蓬」)のことであり、海府大元帥はその艇長であった高田又男であることがわかった。

そこで信者らは、海府大元帥とその部下たち145名が、せめて魂だけでも日本へ帰れるようにと、翌1991年に造船職人に依頼して「日本の軍艦」の模型を作り、海府大元帥の御座船「38にっぽんぐんかん」として奉納した。

その後、紅毛港地区の再開発により保安堂の移転が余儀なくされ、2013年に建物を新築して現在の場所に移転しているとのこと。

鳳山紅毛港保安堂へのアクセス

最寄り駅は高雄MRTレッドラインの草衙駅です。高雄国際空港駅からなら1駅(2分)、台湾新幹線の左営駅からは、高雄MRTレッドラインに乗換えて12駅(約25分)と比較的アクセスは容易です。ちなみに、高雄MRTでは高雄の交通系ICカードである「iPASS一卡通」だけでなく、台北で購入した「悠遊カード」もそのまま利用できるので便利です。

下の地図のとおり、草衙駅から鳳山紅毛港保安堂までは1.7kmほどあります。路線バスを利用する場合は、草衙駅から地上に出てすぐの停留所より「R7 B系統」に乗車し、6つ目の「国慶六街」で下車する徒歩3分くらいのところに着きます。ただ、バスの本数はそれほど多くないようですので、20分くらいですが歩いていくほうが早いかもしれません。

ちなみに、鳳山紅毛港保安堂までには大小様々な寺院がたくさんありますので、それら寺院をお参りしながら、散策がてら歩いてみてもいいかもしれません。

鳳山紅毛港保安堂をお参りしてみたレビュー

草衙駅から徒歩で向かいました。まだ観光スポット化されていないので、案内標識などは出ておらず、周囲にこれといった目印もありませんので、グーグルマップなどで確認しながら行くのがおすすめです。途中、立派な寺院がいくつもありましたので、寺院巡りをしながらというのも面白いかもしれません。

20分ほど歩くと住宅街のような静かな場所になって、こんなところにあるのかなあ、と心配になったりもしましたが、グーグルマップどおり、ちゃんと見つかりました。思ったよりも立派な建物です。建物に向かって右横には「海から臨む富士山」の大きな絵がありました。

そして、富士山の絵のまわりには花壇があり、その中に小さな手水舎もありました。日本を感じさせるような、ちょっと懐かしい感じがしました。

正面中央には石材でできた龍のレリーフがあり、その奥には一対の狛犬が安置されていました。

ここの龍や狛犬は中華風のものでした。やっぱり道教風の寺院ですからね。

と思いつつも上を見上げるとおもむろに「しめ縄」が飾られています!神仏混交ならぬ、神華混交ですかね?

保安堂の中に入ってみました。拝観料とかは要りませんし、誰でも自由に出入りできるような雰囲気になっています。係の方が一名いらっしゃいましたが、ソファで静かにお昼寝中。他には参拝客も私以外にはいませんでした。お線香とかは係の方から購入するのでしょうが、起こすのも申し訳ないので、そのまま静かにお参りをすることにしました。

道教寺院風の派手な堂内。中央にキラキラと装飾された祭壇があって、祭壇の奥には3柱の神像が安置されていました。向かって右端が海府大元帥こと高田又男艦長のようです。海軍の軍服を着ておられます。

しばし手を合わせて冥福をお祈りしました。祭壇の上には記念スタンプが置いてあって、自由に押せるようになっていました。試しに押してみましたが、判面があまりにも擦り減りすぎていて、何が何だかわからない絵になります。残念ですがあきらめることに。ちなみに、日本の寺社であるような御朱印は授与されませんのでご了承ください。

祭壇に向かって左側を見ると大きな軍艦の模型が安置されています。「神艦 38にっぽんぐんかん」と表記されています。戦没した駆逐艦「蓬」とともに、145名の英霊がおまつりされているようです。

軍艦の模型の横には、賽銭箱と鈴緒も設けられていました。神道式でのお参りも可能となっています。台湾元のコインで、手慣れた二拝二拍手一拝で参拝です。

こうして30分ほどでしょうか、一通りお参りを済ませ、写真撮影などをして鳳山紅毛港保安堂を後にしました。ここは、ほんとうに住宅地のなかの静かな場所なので、近くに食事のできるお店もなければ、コンビニなども見当たりませんでした。だからこそ英霊をおまつりするには適した場所なのかもしれませんね。

まとめ

台湾の方々の素朴な信仰の対象が、たまたま旧日本軍人だったということではありますが、故郷を思うそうした英霊の気持ちを慰めようと、日本風のものを多く取り入れて立派な保安堂を建立し、丁寧におまつりいただいていることには、一人の日本人としてとても有難く感じました。

鳳山紅毛港保安堂では、そうした台湾の方々の思いやりの深さを感じることができました。高雄に行く機会があれば是非立ち寄っていただきたいと思います。

Have a nice trip!