富士浅間神社5社を電車や路線バスを使って東京から日帰りでまわる方法

「浅間神社」と名の付く神社は全国に1,300社ほどもあるそうですが、その本宮的な位置づけにあるのが富士山の周辺にある浅間神社です。今回は、富士山の周辺にある浅間神社のうち「富士浅間神社5社」と呼ばれる5つの神社を、電車や路線バスを使って東京から日帰りでまわる方法についてご紹介いたします。

富士浅間神社5社について

ここで「富士浅間神社5社」と呼んでいるのは、富士御室浅間神社、北口本宮冨士浅間神社、東口本宮冨士浅間神社、富士山本宮浅間大社、山宮浅間神社の5社となります。しかし実はなぜこの5つの神社が「富士浅間神社5社」なのか、その理由はよくわかりません。ネットで調べると、この5社が代表的な浅間神社だと出てくるので、そうかなと思ったにすぎません。その点は、あらかじめご了承いただきたいと思います。

例えば2013年に世界文化遺産に登録された「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」には、その構成資産として8つの浅間神社が含まれています。上で述べた「富士浅間神社5社」のほか、同じく富士山の周辺にある、河口浅間神社、村山浅間神社、須山浅間神社の3社です。ですから、世界文化遺産に関連する浅間神社という観点なら5社ではなく8社になると思うのです。ほかにも代表的な浅間神社を9社として挙げていらっしゃる方もおられるようです。

ということなので、皆さんがお参りや観光に行かれる場合は、富士御室浅間神社、北口本宮冨士浅間神社、東口本宮冨士浅間神社、富士山本宮浅間大社、山宮浅間神社の5社にこだわる必要はありません。ですがこれら5社は、いずれも由緒正しく、文化的価値の高い見どころ多い神社であり、主祭神であられるコノハナサクヤヒメのご利益が高いパワースポットであることには違いありません。富士浅間神社5社をまわって、がっかりするようなことは無いはずですから、その点はご安心ください。

富士浅間神社5社巡りの概要

富士浅間神社5社の位置関係は下の地図のようになっています。5社のうち3社は富士山の東側にあり、静岡県の御殿場から山梨県の河口湖に至るルート上に点在しています。残りの2社は富士山の西側にあり、静岡県の富士宮にあります。なお、神社についている番号は実際に私がまわった順番となります。

地図を見ておわかりのとおり、富士浅間神社5社を電車や路線バスだけで東京から日帰りでまわる方法はかなりハードな旅になります。特に富士山の東側は交通の便がよくありません。そこで、まずは難易度の低いその他の方法を、先にさらっとご紹介しておくことにいたします。

バスツアーを利用する方法

たとえば、「四季の旅」からは新宿発着の「浅間神社五社めぐりバスツアー」というのがあります。各神社での参拝時間も十分ですし、ガイドさんによる説明も聞けて、しかも金額がリーズナブルですから、このようなバスツアーに参加するのが最も難易度が低く、効率的で、費用も節約できます。正直言えば、このようなバスツアーが最もおすすめかもしれません。ただし、ツアーの出発日が限定されていたり、時期によっては予約がとりにくかったり、という欠点はあります。また、他の参加者と行動を一緒にするのが苦手な方には向いていません。

車やバイクを利用する方法

自家用車でもいいし、現地でレンタカーでも構いません。高速道路を利用できるバイクなどでもいいと思います。富士山を囲むように国道が整備されていますし、道幅の狭い山道など意外とありませんので、車やバイクなら富士浅間神社5社巡りはとても簡単です。例えば、東名高速道路で御殿場から降りて出発すれば(御殿場駅前でレンタカーでもOK)、東口本宮冨士浅間神社、北口本宮冨士浅間神社、富士御室浅間神社の順に北上し、国道139号線で富士山の西側に移動して、山宮浅間神社、富士山本宮浅間大社とまわって、新東名高速道路で東京に戻ることになります(新富士駅前でレンタカーを乗り捨てでもOK)。このルートなら、途中、山宮浅間神社の手前の白糸の滝(世界文化遺産の構成資産のひとつ)にも立ち寄ることができてお得です。

電車や路線バスだけを利用する方法

この記事で詳細にご説明するのが、電車や路線バスだけを利用して富士浅間神社5社巡りをする方法です。実際に私がまわったときの時系列形式でご紹介していますので、当日の運行状況や時刻表の変更などにより、このとおりには行かない可能性もあります。実際に行かれる際には、時刻表の確認や当日の運行状況の確認などをお願いいたします。

電車や路線バスだけの富士浅間神社5社巡り

ある土曜日に東京からの日帰りで、富士浅間神社5社を、①富士御室浅間神社、②北口本宮冨士浅間神社、③東口本宮冨士浅間神社、④富士山本宮浅間大社、⑤山宮浅間神社の順にまわりました。利用する交通機関は、電車や路線バスだけによる縛りをつけました。また各神社では必ずお賽銭を捧げて参拝をし、御朱印をもらうことを条件としました。

新宿を出発して河口湖へ

JR新宿駅より07:30発の特急富士回遊3号に乗車。乗り換えなしで河口湖駅には09:21に到着しました(特急料金含めて4,123円)。この列車は、JR線から富士急行線に直接乗り入れしており、新宿から乗り換えなしで河口湖まで行けるのでとても便利です。

1社目の富士御室浅間神社へ(滞在時間約30分)

下の地図のとおり、河口湖駅バス停より09:40発、富士急行バスの路線バス「西湖周遊バス富岳風穴行き(グリーンライン)」に乗車。富士御室浅間神社バス停に09:56着。ここで下車します(270円)。バス停は富士御室浅間神社すぐそばの駐車場のところです。

まずは1社目の富士御室浅間神社でお参り。ここには里宮と本宮という2つのお宮が斜めに向かい合って鎮座しているのが特徴です。里宮は河口湖を背にし、本宮は富士山を背にした感じで位置しています。

本宮の創建は699年。もとは富士山二合目にあったものが、社殿の恒久的保存のため1974年にこの里宮の場所に移設されたそうです。「富士山最古の神社」と言われています。

社務所は里宮側にあり、そこで御朱印も授かれます。里宮と本宮の2種類の御朱印がありますので、もちろん両方いただくことにします。

2社目の北口本宮冨士浅間神社へ(滞在時間約60分)

富士御室浅間神社境内の外に出て、来た時のバス停とは道路を渡った反対側のバス停(神社の入口横あたりにある)で、河口湖駅方面へ戻る「西湖周遊バス富岳風穴行き(グリーンライン)」10:29発に乗車。河口湖駅バス停に10:45着(270円)。一旦ここで下車して別のバスに乗り換えます。ここから11:00発の「[A1] 忍野八海経由御殿場駅行き」に乗車し、浅間神社前バス停に11:14着(300円)。ここで下車します。バス停のすぐ目の前に北口本宮冨士浅間神社の入口、大きな鳥居があります。

2社目は北口本宮冨士浅間神社です。景行天皇40年(西暦110年)、日本武尊が東方遠征の際に、この地で富士山の神霊を遥拝して「富士の神山は北方から拝せよ」と仰せになられ、祠を建てて祀ったのがこの神社の始まりとされています。境内も広く、拝殿の造りも荘厳とした雰囲気が漂っています。

境内には摂社「諏訪神社」も鎮座しています。もともとこの神社は諏訪神社だったところ、後にコノハナサクヤヒメを主祭神として浅間神社に変わったという話のようです。浅間神社の本殿・拝殿に負けず、諏訪神社の本殿・拝殿もなかなか立派なものです。

そして気になる御朱印ですが、北口本宮冨士浅間神社の御朱印と、諏訪神社の御朱印の2種類があります。私はケチってしまい北口本宮冨士浅間神社の御朱印だけ授かったのですが、折角なので両方授かっておけばよかったと、あとで後悔してしまいました。

3社目の東口本宮冨士浅間神社へ(滞在時間約60分)

北口本宮冨士浅間神社を出て後、降りたところのバス停から乗車となります。下の地図のとおり、ここから12:14発のさきほどと同じ「[A1] 忍野八海経由御殿場駅行き」に乗車し、須走浅間神社バス停に12:53着(1,030円)。ここで下車します。バス停のすぐ近くに東口本宮冨士浅間神社の入口があります。ちなみに、東口本宮冨士浅間神社は別名「須走浅間神社」とも呼ばれています。

もう時間も13:00ですので昼食をとらねばと思って見渡したところ、食事のできるようなお店がありません。ちょうどバス停の横にローソンがあり、イートインも可能だったのでコンビニ弁当で昼食にすることとなりました(河口湖駅前で“ほうとう”を食べておけばよかったです)。まあ、時間の節約はできたのでよかったと考えましょう。

3社目は東口本宮冨士浅間神社です。延暦21年(西暦802年)に、富士山東麓が噴火をしたため、この須走の地で鎮火祭が行われました。これにより噴火が収まったことから、大同2年(西暦807年)、この鎮火祭の跡地に社殿を造営したとされています。

この神社も広い境内と立派な拝殿・社殿で見事なのですが、狛犬好きの私にとって最も印象に残ったのが「富士塚の狛犬」です。サイトの説明によると、昭和初期に山三元講より寄進されたものだそうで、それほど古いものではなさそうでしたが、富士塚を模した岩場の上に立つ親獅子が、子獅子を千尋の谷に突き落とすという「獅子の子落とし」を再現したもののようで、今まで見たこともない珍しいものでした(親獅子の顔がちょっと怖い)。

御朱印ですが、拝殿のほうに書置きが置いてあって300円を賽銭箱に入れて1枚頂いていくという無人書置きのシステムになっていました(2020年7月)。ですが、私が見た時には拝殿にあるはずの御朱印が空っぽになっていて焦りました。社務所のほうに行って事情を説明したところ、今書いてくれるとのことでその場で1枚書いてくださりました(御朱印帖への記入ではなく半紙)。無事に御朱印を授かることができました。

4社目の富士山本宮浅間大社へ(滞在時間約40分)

東口本宮冨士浅間神社の次は富士山の西側へ大移動となります。まずはJR御殿場駅へ向かうことにします。先ほど下車したバス停から乗車です。下の地図のとおり、ここから13:53発の「[A1] ぐみ沢経由御殿場駅行き」に乗車し、御殿場駅バス停に14:15着(570円)。ここで下車します。目の前に御殿場駅があります。

ここからはしばらく電車での移動です。御殿場駅より14:27発の御殿場線「沼津行」に乗車し、途中、沼津駅で乗り換え。沼津駅を15:14発の東海道本線「島田行」に乗車し、更に富士駅で乗り換え。富士駅を15:39発の身延線「西富士宮行」に乗車し、富士宮駅に15:57着(990円)。ここで下車して駅から出ます。

この富士宮駅から富士山本宮浅間大社までは路線バスも通っているのですが、ちょうどいいタイミングでバスが無いため徒歩で行くことにしました。とはいえ、下の地図のとおり距離は850mなので10分程度で到着。到着時刻は16:10でした。

4社目は富士山本宮浅間大社です。日本武尊が駿河国で賊徒の計にかかり野火の難に遭った際に、浅間大神に祈念して難を逃れたので、賊徒を平定した後に山宮(5社目として後述する「山宮浅間神社」のこと)に磐境を設けて浅間大神を祀ったのが起源。そののち大同元年(西暦806年)に坂上田村麻呂が現在の地に社殿を造営し山宮を遷座させたと伝えられています。

富士山本宮浅間大社は、とても格式が高く、式内社(名神大社)、駿河国一宮。「大社」と名の付くとおり、旧社格は官幣大社で、現在は神社本庁の別表神社。全国に約1,300社ある浅間神社の総本社となっています。富士浅間神社のうち、どこか1社だけ選ぶのなら、私は迷わずこの富士山本宮浅間大社にしたいと思います。とにかく何もかもが立派です。とくに鳥居の隣に見える富士山もなかなか絵になり、さすが浅間神社の総本社という感じです。

とは言うものの、のんびりしてはいられません。御朱印を授かれる時間が16:30までらしいので、早々に参拝を済ませて社務所へ。終了5分前に御朱印を授かりました。幸いにも御朱印待ちの人はほかにいなかったのですが、もし混雑していたら危なかったところです。

5社目の山宮浅間神社へ(滞在時間約30分)

いよいよ最後の5社目に向かいます。下の地図のとおり、富士山本宮浅間大社の境内東側にある湧玉の池側から外に出て湧玉の池バス停に向かいます。

湧玉の池バス停から16:49発の富士急バス「万野粟倉循環」に乗車し、万野団地入口バス停に17:01着(230円)。ここで下車します。下の地図のとおり、万野団地入口バス停から山宮浅間神社までは2kmほどと、やや長い距離を歩きます。徒歩20~30分くらい見たほうがいいかもしれません。私が山宮浅間神社に到着した時刻は17:30でした。日の短い冬の季節では真っ暗になってしまいますから、気を付けましょう。

最後の5社目は山宮浅間神社です。上の富士山本宮浅間大社のところでもご説明したとおり、もともと日本武尊がこの地に磐境を設けて浅間大神を祀ったのが山宮浅間神社の起源であり、富士山本宮浅間大社の遷座前の起源でもあるのでした。

参道が森の中にいるようで神秘的な趣のある神社です。籠屋(参道の途中にある建物)はありますが、本殿にあたる建物はなく、参道の先には富士山を遥拝する遥拝所があるだけの原始的な古い神社でした。この遥拝所から眺める富士山の姿は神々しさが感じられます。

さて、御朱印なのですが、山宮浅間神社入口横にある駐車場のところに案内所があり、サイトを見ると土日祝の10:00~15:00のみ開館となっています。私が行った日は土曜でしたが、到着した時間がすでに17:30を過ぎていましたので、当然のことながら閉館。

お参りだけして行くつもりでいたところ、なんと参道の途中にある籠屋の中にある賽銭箱の後ろに、書置きの御朱印が準備されていました。無人書置きのシステムです。

こうして山宮浅間神社をお参りするとともに、諦めかけていた御朱印も無事に授かることができました。東口本宮冨士浅間神社のように御朱印が空っぽになっていなかったのはラッキーでした。あとは、来た道を戻って万野団地入口バス停へ。ここから18:26発 の富士急バス「万野粟倉循環」(循環線なので来た時と同じ方向に向かうバスでOK)に乗車し、富士宮駅バス停に18:47に到着しました(270円)。

新幹線を利用して新宿へ

帰りは新幹線を利用しました。富士宮から一番近い新幹線の駅は新富士駅になりますが、この新富士駅がやっかいな場所にあって、在来線に接続していません。ですので、在来線と接続している1つ東京寄りの駅、三島駅から新幹線を利用することにしました。

富士宮駅から19:18発の身延線「富士行」に乗車。富士駅で乗り換え、19:42発の東海道本線「三島行」で三島駅へ。ここで新幹線に乗り換え、20:27発の「こだま746号 東京行」で品川駅まで。品川駅で山手線に乗り換え新宿駅には21:48に到着しました(特急料金を含めて4,400円)。ハードな1日が無事に終了です。

まとめ

富士浅間神社5社を電車や路線バスを使って東京から日帰りでまわる方法はいかがでしたでしょうか?各神社での参拝時間は30分以上と比較的リーズナブルに確保できましたし、御朱印も5社すべて授かることができました。しかし、土地のグルメを楽しんだり、お土産物のショッピングを楽しんだりすることは難しそうでしたね。楽しむことに重点を置くのであれば、やはり車やバイクでまわるか、バスツアーに参加するのがおすすめだと思います。

ですが、この旅を振り返ってみると、不思議と何とも言えない充実感や達成感はありました。何かの縛りをつけて、苦行とまではいかないけれども、それなりにハードな行程をこなしてお参りする。信仰心はそれほど無いですが、楽してお参りするよりも、苦労して誓ったことをやり遂げてお参りしたほうが、神様にお願いをきいてもらいやすいのでは、という気がしないでもないです。皆さんはどう思われるでしょうか?

Have a nice trip!