東京近郊で体験できる台湾文化、その3「聖天宮」をご紹介

2023年3月17日

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これまで台湾文化の代表例とも言える道教寺院や媽祖廟で、東京近郊にあるものを2回にわたってご紹介して来ましたが、今回は道教寺院建築では日本国内最大級と言われる埼玉県坂戸市にある「聖天宮」をご紹介いたします。

聖天宮とは

聖天宮とは正式名称「五千頭の龍が昇る聖天宮」とされる道教の寺院です。お祀りする主祭神は道教の最高神である三清道祖(元始天尊、道徳天尊、霊寶天尊)とされています。

この聖天宮を日本の地に建立したのは台湾出身の康國典大法師という方です。康大法師は若いころに大病を患われ、三清道祖に祈願しながら7年の闘病生活をおくられたそうです。見事に病気が完治した後、康大法師は、三清道祖への感謝とともに、他の多くの人々も三清道祖のご利益にあずかれるようにと、道教寺院を建立することを決意されました。

康大法師が道教寺院の建立地を探していたところ、日本の埼玉県坂戸市に建立するようにとの神様からのお告げがあったそうです。そして1981年に着工し、15年の工期を経て1995年に聖天宮が完成し、開廟となりました。現在日本にある道教寺院の建築物としては、日本国内最大級とされています。

聖天宮へのアクセス

公共交通機関を利用した聖天宮へのアクセスの場合、最寄り駅は東武東上線の若葉駅となります。下の地図のとおり、若葉駅の東口を出て正面に伸びる「若葉台通り」を真っ直ぐに2.5kmほど行ったところに聖天宮はあります。30分くらいなので歩けない距離ではありませんが、駅前から路線バスも出ているので、バスを利用するほうがいいでしょう。

バスを利用する場合は、若葉駅の東口を出てすぐのところに東武バスのバス停があります。ここから、「若01(八幡団地行き)」、「若02(川越駅行き)」、「東坂03(東坂戸団地行き)」などに乗車し、いずれも4停留所目の「戸宮交差点前」で下車します(運賃180円、所要時間5分程度)。だいたい1時間に2,3本くらいありますので、使い勝手は悪くありません。

戸宮交差点前でバスを下りたら、そのバスが進んで行く方向にその道に沿って真っ直ぐ500mほど行くと、左手に聖天宮の大きな正面の門「天門」が見えてきます。聖天宮の周囲には大きな建物もありませんので見落とすことはないでしょう。

ちなみに、自家用車、バイクで行く場合には、聖天宮の正面に無料の広い駐車場、駐輪場がありますので安心です。

聖天宮の参拝レビュー

休日に一人で聖天宮を参拝してみましたので、そのレビューを簡単にご紹介いたします。

正面の門「天門」は大迫力

まず聖天宮の前に到着すると、その敷地の広さとともに、正面の門「天門」の規模の大きさと迫力に驚きました。天門の前は結構な広場になっているのですが、土曜日の早朝にはここで太極拳をやっているそうです。考えただけで絵になりそうです。

天門は大きな三層の屋根になっているのですが、黄色い屋根瓦と龍の装飾。黄色い屋根瓦と龍の装飾は、神様と皇帝の建物以外には使用されないそうですが、その豪華さと本気度がうかがえます。

さすが正式名称が「五千頭の龍が昇る聖天宮」と言うだけあって、天門の屋根にはたくさんの龍の装飾が施されています。この天門は聖天宮の最初の見どころではありますが、これを見るだけでもここに来た価値はあると思いました。

前庭に入ると豪華な前殿

天門には一対の中国式狛犬が鎮座していますが、狛犬の中央は扉が閉まっていて通れません。入口は天門に向かって左側からとなります。そばにチケット売場がありますので、拝観券(500円)を購入して天門の左側入口から入場します。

入場すると、そこにはまたまた広い前庭があります。ほんとうに贅沢なまでの敷地の使い方ですね。前庭の奥には、天門と同様のスタイルの黄色い屋根瓦とたくさんの龍の装飾が施された大きな前殿と、そしてその両側に楼閣が鎮座しています。とにかく豪華絢爛な造りとスケールの大きさに興奮してしまいます。ほんとうに台湾に来てしまったようなそんな気分になりました。

前殿の正面には次の見どころである「九龍柱」という透かし彫りの2本の石柱があります。これは台湾の観音山でとれた高さ5mの観音石で、その一本岩から彫られた彫刻となっています。透かし彫りは柱の奥まで三層構造になっていて、細いところは小指よりも細いというからその彫刻技術に驚きです。

前殿の中の造りも素晴らしいのひとこと

前殿正面に向かって右側に入口がありますので、そこから建物内に入ります。前殿の中も豪華な造りになっており、その天井は1万以上の部品を釘なしで組まれているのだそうです。素晴らしいのひとことです。ここでは「神椑(シンプェー)」というおみくじが引けるのですが、混雑しているようでしたので、まずは本殿でのお参りを先に済ませてから戻ってくることにします。

本殿で参拝、天井の装飾は必見

本殿は、中庭を挟んで奥に鎮座しています。両脇の回廊を通って本殿へ向かいます。

本殿もさきほどの前殿に劣らぬ豪華な造りになっています。本殿前にも、前殿前にあったのと同様の2本の「九龍柱」があります。九龍柱の手前の中央には、こちらも一枚岩から彫られた「九龍網」という彫刻があり、見事な出来栄えでした。

本殿の中に入ると係の方がいらっしゃって、聖天宮でお祀りしている神様のことや本殿の造りについて説明してくださいました。

聖天宮を造るにあたって、台湾から一流の宮大工を呼び寄せ、完成まで15年をかけたとのことで、特に本殿の天井にはこだわりがあるようでした。こちらも前殿と同様に釘を使わずに組んだもので、奇麗ならせん状の造りには驚くばかりです。これはもう重要文化財と言えるレベルなんじゃないでしょうか?

係の方はお祈りの仕方も親切に教えてくださいました。有料になりますが、お線香を捧げることもできます。ただ、係の方の説明では、何か特別に祈願することがあればお線香を捧げてください、ということでしたので、お線香は次の機会にすることとしました。なお、本殿の内側に入って撮影することは禁止になっていますのでご注意ください。所定範囲の外側からなら本殿内を撮影することも可能ですので、係の方の説明をよく聞いて撮影してください。

本殿の横には御守りなどの授与所があります。色々な種類の御守りがありますので、参拝の良い記念になると思います。

休憩所でも台湾を満喫

本殿から前殿へ戻る回廊の途中には休憩所があります。ここには自動販売機があって、日本では珍しい台湾の缶ジュースやスナックなどを購入できます。もちろん座る場所やテーブルもありますので、台湾気分を味わいながら一休みするのもいいものです。私も、中身は何かわかりませんが台湾のジュースを買って飲んでみました。ちなみに、トイレは建物内にはなく、休憩所から外に出たところにあります。

休憩所の奥には階段があり、そこから2階に上がることができます。大きな太鼓のある鼓楼です。窓から前庭が一望できて眺めがいいです。これは前庭から見た左側の楼閣のようでした。今回、私は上らなかったのですが、前殿を挟んでこの鼓楼の反対側(前庭から見た右側)には大きな鐘のある鐘楼があって、こちらにも上ることができるようです。

最後の楽しみはやっぱり「おみくじ」

休憩のあとは先ほどの前殿に戻って、いよいよ「神椑(シンプェー)」式のおみくじを引きます。たぶんこの神椑(シンプェー)は、以前、横浜中華街の「關帝廟」のところでご説明した「神筈(しんばえ)式」のおみくじと基本的に同じ流儀のものではないかと思います。詳しい説明書きがありますので、よく読んでおみくじを引いてください。神筈(しんばえ)式のおみくじと異なる点もあります。神椑(シンプェー)ではおみくじを引く場所が男性用と女性用とに分かれています。神筈(しんばえ)式では、たしか男女一緒だったと思うのですが。

なお、おみくじの文面は日本語で記載されていますので心配は要りません。料金は1回200円となっています(コマを何度振りなおしても料金は一緒)。道教のおみくじは、三日月型のコマを何度も振らなといけないので引くのに時間がかかります。そのため順番待ちで結構時間がかかることがあります。男女別になっているのですが、やはり女性のほうが時間はかかっているようでしたね。せっかくなので時間には余裕をもっておきたいですね。

まとめ

聖天宮は、台湾の一流の宮大工が15年をかけて造っただけあって、見ごたえのある素晴らしい寺院でした。不勉強でしたが、台湾にも宮大工という職業があったということと、その仕事の緻密さ芸術性の高さにはとても驚かされました。台湾の文化、芸術、伝統技術を堪能できる参拝になり、期待以上の収穫がありました。

なお、聖天宮だけでは物足りないという場合には、近隣の観光地である川越などとあわせて聖天宮をお参りするコースもおすすめできます(川越駅から若葉駅までは東武東上線で10分ほどです。)。

Have a nice trip!