横浜の産業遺産「旧横浜船渠第1号及び第2号ドック」と「帆船日本丸」

2023年7月26日

[アフィリエイト広告を利用しています]

横浜のみなとみらい地区と言えば、横浜ランドマークタワーやグランド・インターコンチネンタルホテルといったシンボルとなる建物や、コスモワールドをはじめ娯楽やショッピング、グルメで楽しめるスポットとして有名ですが、ここはかつては横浜造船所があった跡地でもあることから、産業遺産、産業文化財の一部を楽しむこともできます。

今回は、横浜みなとみらい地区にある「旧横浜船渠第1号及び第2号ドック」と、そこで展示されている「帆船日本丸」についてご紹介いたします。

「旧横浜船渠第1号及び第2号ドック」と「帆船日本丸」について

かつてこの地には横浜船渠株式会社(後の三菱重工業横浜造船所)の造船所がありました。現在の横浜ランドマークタワー及びその付属施設は、この造船所の移転跡地に建設されたものです。

横浜船渠株式会社には3つのドックがありました。第1号ドック、第2号ドック、第3号ドックです。第3号ドックは埋め立てられて現存しませんが、第1号及び第2号ドックは現存し、民営のものとしては現存最古の石造乾船渠(ドライドック)だそうで、いずれも重要文化財の指定を受けています。

このうち第2号ドック、すなわち「旧横浜船渠第2号ドック」は、横浜ランドマークタワー横の付属施設である”ドックヤードガーデン”として保存・活用されています。ドック内は、自由に立ち入って見学できるようになっているだけでなく(入場無料)、イベントスペースやオープンテラスとしても利用されています。また、ドックの地下部分周囲にはレストラン街などの商業エリアが構築されており、グルメやショッピングを楽しみながら産業遺産に触れることのできる施設となっています。

他方、第1号ドックのほうは、横浜ランドマークタワーの敷地外に位置し、横浜市が所有・運営する「日本丸メモリアルパーク」にて保存・活用されています。第1号ドックは注水されプールのような状態にして、その中に「帆船日本丸」を浮かべ、係留・展示しています。「日本丸展示ドック」と呼ばれているようです。

帆船日本丸は、1930年に進水した航海練習帆船です。その美しい姿から、「太平洋の白鳥」や「海の貴婦人」などと呼ばれていたそうです。1984年に退役した後、日本丸メモリアルパーク内で浮体展示されています。2017年に重要文化財に指定されています。乗船して中を見学することもできます(大人400円)。

「旧横浜船渠第2号ドック」と「帆船日本丸」へのアクセス

ドックヤードガーデン(=旧横浜船渠第2号ドック)は、みなとみらい線の「みなとみらい駅」からは徒歩5分、JR・市営地下鉄の「桜木町駅」からは動く歩道で徒歩5分ほどとなります。みなとみらい駅からは、下の地図のとおりです。駅改札を出て、建物内を通り外に出ずに行くことも可能ですが、一旦、海側の「さくら通り」に出て、この通りを横浜ランドマークタワーを目印にまっすぐ歩いて行くのがわかりやすいと思います。

ドックヤードガーデンから帆船日本丸までは、まずドック内から階段で地上に出て、目の前の横断歩道から「さくら通り」を渡ります。少し歩けば旧横浜船渠第1号ドック内に浮かんだ帆船日本丸が見えてきます。400mくらいなので、歩いて5分もかかりません。

「旧横浜船渠第1号及び第2号ドック」と「帆船日本丸」を見学してみたレビュー

みなとみらい駅の改札を出て、建物の中を横浜ランドマークタワー方面へ歩いて行きました。ドックヤードガーデンとは地下でつながっているのですが、途中ちょっと迷ったりもしながら、なんとか到着。やはり、外の「さくら通り」を通って行ったほうがわかりやすかったようですね。

ドックヤードガーデン(=旧横浜船渠第2号ドック)は”お城の石垣”

ドックヤードガーデン(=旧横浜船渠第2号ドック)は、さすが大型船を建造していたドックだけあって、とにかくスケールが大きい空間に驚きです。有名なところでは横浜の山下公園に係留・展示されている「氷川丸」がここで建造されたそうですから、巨大なドックの大きさも頷けます。

その他にも、「秩父丸」や「第一青函丸」、そして大日本帝国海軍の軽巡洋艦「那珂」、練習巡洋艦「香取」と「鹿島」、軽空母「龍驤」、駆逐艦「白雪」と、各種の艦艇がここで建造されました。日本の産業発展のみならず国防をも担ってきた、そんな誇らしい歴史をもっているのですね。今はなき艦艇たちが生まれたこの空間を、長い時間を経てこうして共有できたことはとても感慨深いものがあります。

ドックの巨大な壁面は石垣造りです。石材は神奈川県真鶴町産の小松石とされていますが、江戸城の石垣などにも使われたものと同じ石材だそうです。まるでお城の石垣を見ているような感じです。日本の石工はいい仕事をしていますね。代々受け継がれた伝統技術が、こうして近代技術に活かされているのはすごいことです。

旧横浜船渠第1号ドックに浮かぶ帆船日本丸

続いて日本丸メモリアルパークのほうへ移動します。ドックヤードガーデンを地上まで上がり、歩いて5分ほどで到着。注水された状態の旧横浜船渠第1号ドックがプールのように見えます。その中に帆船日本丸が浮かんでいるのが見えます。

さきほどのドックヤードガーデンのほうは水が無い状態で、こちらの第1号ドックは水で満たされた状態。なるほど、ドックはこういうふうに使うのですね。ドック利用時の2つの状態を見比べることができるのも、いい勉強になります。

日本丸メモリアルパークでは、第1号ドックを見学したり、外から帆船日本丸を眺めたりするだけなら入場無料です。帆船日本丸に乗船して中を見学する場合にはチケット売場でチケット(400円)を購入します。帆船は外から眺めるものだとも思いましたが、せっかくなので乗船してみることにしました。

外から見た感じでは小さな船に見えましたが、船内に入ってみると意外に船室も多く、居住スペースも広い船だなと感じました。1930年に進水したというので、建造されてから90年以上になりますが、それほど古さを感じさせない立派な造りになっていました。

残念ながら帆は張られていませんでしたが、甲板やマストまわりにはロープがいっぱいありました。さすが帆船ですね。ところで意外でしたが、船内には機関室があり、ディーゼルエンジンが設置されていました。帆船だからといって風だけに頼って航海するというわけではないのですね。

ブリッジの操舵室。どの船でもここからの眺めが一番いいですね。恰好いいです。この航海練習帆船で訓練を積んで日本を守る艦艇の航海士へと育っていった人もきっとたくさんいるのでしょう。そう思うと感慨深いものがあります。

まとめ

今回ご紹介した「旧横浜船渠第1号及び第2号ドック」や「帆船日本丸」などは、ここだけを目的に観光するというよりは、横浜みなとみらい地区でショッピングやグルメを楽しむついでに気軽に立ち寄って欲しいスポットです。日本の近代化に寄与した重要な産業遺産が、その姿を保存しつつ、現代の生活にうまく活用できているというのは、素晴らしいことだと思いました。

Have a nice trip!