東京から日帰りでOK、登れる大型古墳もある「さきたま古墳公園」をご紹介

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大阪の百舌鳥・古市古墳群が世界遺産に登録され、今、日本の古墳が注目されています。古代史の遺跡と言えばヤマト王権のあった関西地方が中心と思われがちですが、実は関東地方にも本格的な古墳がたくさんあるんですね。今回は、そのなかでも、東京から日帰りできて、登れる大型古墳もあるという、とてもユニークな「さきたま古墳公園」をご紹介したいと思います。

「さきたま古墳公園」とは

「さきたま古墳公園」は、行田市の市街地より南東へ約1kmにあり、9基の大型古墳が集中する東日本最大の「埼玉古墳群」を中心に整備された公園です。東日本でこれほど本格的な前方後円墳が見られる場所は、なかなかないと思います。しかも入園料は無料です。

特に国宝「金錯銘鉄剣」が出土した稲荷山古墳は、日本史の教科書などでもお馴染みです。しかも、この稲荷山古墳は、階段で頂上に登ることができるというユニークな「登れる古墳」なのです。国宝「金錯銘鉄剣」は、さきたま古墳公園内にある「さきたま史跡の博物館」で実物を見ることができます。

また、稲荷山古墳の隣にある丸墓山古墳は、日本一の規模の円墳と言われています。この丸墓山古墳も階段で頂上に登ることができる「登れる古墳」となっています。さきたま古墳公園にある9基の古墳のうち、「登れる古墳」は、前方後円墳の稲荷山古墳と、円墳の丸墓山古墳との、計2基となっています。

そのほか、さきたま古墳公園内には、「はにわ作り体験」ができる「はにわの館」や、レストハウスやあずまやなどが整備されています。

「さきたま古墳公園」へのアクセス

最寄り駅はJR行田駅か秩父鉄道の行田市駅のいずれかがおすすめです。

JR行田駅経由のアクセス

JR行田駅から行く場合は、池袋からJR湘南新宿ライン快速で乗り換えなし約1時間。行田駅からは、駅前のバス停から行田市コミュニティバスの「観光拠点循環コース(左回り)」に乗って「埼玉古墳公園前」まで15分です(運賃150円均一)。「観光拠点循環コース(左回り)」は1日に5便しかないので、あらかじめ時刻表でよく確認しておいてください。さきたま古墳公園から行田駅に戻る場合は、反対周りの「観光拠点循環コース(右回り)」に乗ることになります。

なお、行きと帰りいずれも「観光拠点循環コース(右回り/左回り)」という反対周りの便も利用可能で、それぞれ1日に5便あるので合計して片道1日10便ということにはなります。ただ、反対周りにするとJR行田駅前と埼玉古墳公園前との間が37分とやや遠回りになるので、注意が必要です(運賃はどちらも150円で同じ)。

秩父鉄道の行田市駅経由のアクセス

一方、秩父鉄道の行田市駅から行く場合は、池袋からJR湘南新宿ライン快速で約1時間、行田駅の次の熊谷駅まで乗ります。熊谷駅で秩父鉄道に乗り換えて、行田市駅まで3駅、約10分です。行田市駅からは、駅前のバス停から行田市コミュニティバスの「観光拠点循環コース(右回り)」に乗って21分です(運賃150円均一)。なお、行田市駅前からさきたま古墳公園へ向かう場合、反対周りの「観光拠点循環コース(左回り)」は利用できないので、ご注意ください。さきたま古墳公園から行田市駅前へ戻る場合は「観光拠点循環コース(左回り)」のみの利用となります。いずれも本数が限られていますので、時刻表でよく確認しておいてください。

併用ルート・レンタサイクルなど

以上のとおり、電車の乗り換えが少なく、利用可能なバスの便数が多いJR行田駅からのアクセスがおすすめですが、さきたま古墳公園のほか、関東7名城のひとつ「忍城」も観光したいという方は、行きか帰りいずれかを秩父鉄道の行田市駅経由にするといいでしょう。ちなみに、忍城の最寄りバス停は観光拠点循環コースの「市役所前」ですが、行田市駅からも徒歩圏内です。

参考情報として、JR行田駅東口に観光案内所があり、そこで身分証を提示すると無料でレンタサイクルが利用できます。体力に自信のある方なら、春や秋に自転車でまわってみてもいいかもしれません。

「さきたま古墳公園」の観光レビュー

さきたま古墳公園は、行田市コミュニティバスが走る県道77号線「古墳通り」を挟んで北側及び南側にわたる広大なエリアからなります。大型の古墳は北側エリアに集まっており、南側エリアには小型の古墳と博物館などがあります。

北側エリアで「丸墓山古墳」、「稲荷山古墳」、「二子山古墳」を見物

行田市コミュニティバスをバス停「埼玉古墳公園前」で下車し、まずはバス停のある道路(県道77号線「古墳通り」)から北側のエリア(駐車場のあるほう)に行ってみます。駐車場の横にさっそく古墳がありました。愛宕山古墳という小型の前方後円墳です。

愛宕山古墳の横の道に沿って、右手に「天祥寺」というお寺・お墓を見ながら400mほど進むと、大きな円墳で「登れる古墳」の丸墓山古墳が見えてきます。そのまま丸墓山古墳に登る階段に続いています。この階段は結構急な登りになっているので、足元には気を付けてゆっくり登りましょう。さすが、日本一の規模の円墳と言われるだけあり、登るだけで息が切れそうになります。

1590年(天正18年)、小田原征伐に際して忍城攻略の命を受けた石田三成は、この丸墓山古墳の頂上に陣を張ったそうです。たしかに、ここから忍城の姿を見ることができます。石田三成は、忍城を水攻めするため、丸墓山古墳を含む半円形の石田堤を28 kmも築いたとのこと。さきほど丸墓山古墳に歩いてきた道路は、この石田堤の名残なのだとか。丸墓山古墳の頂上には大きな桜の木が複数植えられており、桜が咲く季節にはとても美しいのだそうです。

来た道とは反対側の階段から丸墓山古墳を下り、右側に200mほど行くと大きな前方後円墳の稲荷山古墳があります。この稲荷山古墳も「登れる古墳」となっています。北側、つまり前方後円墳のかぎ穴の形で言うと丸い部分に階段があり、そこから登ります。

階段を上った頂上には、「礫槨(れきかく)」の実物大の絵を描いた模型があります。礫槨というのは、石を貼り付けて並べて棺を置いたもののことです。この稲荷山古墳から発掘されたもののようです。稲荷山古墳の頂上は結構な高さがあり、東側に隣接する将軍山古墳の全景がよく見えます。

頂上からは南側、つまり前方後円墳のかぎ穴の形で言うと台形の部分に至る通路が設けられており、さらにその先に下へ降りる階段があります。前方後円墳の丸い部分と台形の部分とは盛り上がっていて、ふたこぶラクダのようになっているんですね。

稲荷山古墳から階段で下へ降り、そのまま道を真っ直ぐ進むと二子山古墳が現れます。さきたま古墳公園内では最大級の古墳です。この古墳には登れませんが、その大きさは迫力があり、なかなか見ごたえがあります。二子山古墳のすぐ先には、スタート地点の県道77号線「古墳通り」があります。

南側エリアで「さきたま史跡の博物館」、「はにわの館」を見学

今度は、県道77号線「古墳通り」の南側エリアに移ります。道路のすぐ横に「はにわの館」があります。ここでは「はにわ作り体験」(大人1,000円)ができるのですが、基本的に予約が必要とのこと。また、時間も2時間ほどかかるということだったので、今回、工房をのぞいただけで、わたしは体験できませんでした。

はにわの館の横の道を奥に進むと、「県名発祥之碑」というのがあります。この地には巨大古墳群があり、前玉(さきたま)神社があることから、ここが埼玉の中心だとしてこの碑が設置されたそうです。

その先には古民家があり、中を見学できるようになっています(入場無料)。

古民家の向かい側には、南側エリア最大の見どころとなる「さきたま史跡の博物館」(入場料200円)があります。小さな博物館ですが、近隣の古墳から出土した、はにわや装飾品などの多くの出土品が展示されています。

特に注目すべきは稲荷山古墳から出土した国宝「金錯銘鉄剣」です。これは必見です。その他、国宝級の展示品がたくさんあります。

このほか南側エリアには、さきたま古墳公園にある9基の古墳のうち4基の前方後円墳があります。いずれも小型・中型なので全てまわってもそれほど時間はかかりません。ちなみに、さきたま古墳公園内には、北側、南側どちらもレストランなどはありません。駐車場の向かい側、県道77号線「古墳通り」の南側に「元祖田舎っぺ さきたま古墳店」という、うどん屋さんが一軒ありますので、ここぐらいでしょうか。お弁当を食べる場所はたくさんありますので、弁当持参で行くのもいいと思います。

まとめ

首都圏にこんな立派な古墳群があるとはほんとうに意外でした。ユニークな「登れる古墳」もあって、なかなかできない体験をすることができました。また、古墳の周辺は自然のままの野原となっており、かつての古墳時代もきっと同じ風景だったのではないか、と思いをはせました。

世界遺産登録も目指しているようです。古墳に興味がある方は是非一度訪れてみるべきですよ。

Have a nice trip!